20.F ページ20
たまの求める答えを理解し得ぬまま、お互いにジッと見つめ合う。
ただ、たまの言ってることが言葉通り、そのままの意味ならば…何となく思い当たる節もある。
果たしてそれが正解かは知らないけれど。
「……彼女と、なんかあったんじゃないの?」
ポツっと小さく呟いた言葉に、目を丸くするたま。
そんな驚きのたまの様子に、おれの眉間も険しくなる。
T「みつ、彼女いるんだ。」
「……多分ね、って、たまのが知ってると思ってた。」
驚きの表情を浮かべたまま、たまがなんの躊躇いもなく続ける。
T「よく知ってんね、そんなプライベートなこと。」
「…っ、いや…別にそんなんじゃ…っ、」
ニヤニヤと意地悪くたまが笑って言うから、慌てて否定してスッと視線を外して、また俯く。
(だって、キスマーク付いてたじゃん…、)
って、言いたいけど何となく言えない。
せっかくたまとのお喋りで落ち着いていた思考が、また悶々と膨らんでいく。
あっちでもこっちでも、嫌なことだらけだ。
唯一の安らぎの場所でさえ、今はおれの悩みの種になってしまった。
俯いたまま、無意識に大きく溜息を溢す。
くしゃりと髪の毛を掻き上げ俯いていたら、フッと近付く香りに、ぴしゃりと全身が固まる。
T「あ、みつー(笑)」
たまの声よりも先に、その香りだけで認識してしまう自分。本当に重症だ。
別れて、と言った昨日の北山と重なる。
無理だ、ここにいたくない。
無言でスクッと立ち上がれば、震えて揺れる気配に、ウンザリする。
(まただ…、)
こうやって気配がする距離にいたら、いつだってコイツを怖がらせているようで。
益々近くにいたくないと、心の中で強く想う。
その場でモヤモヤと色んな思考を巡らせて、一向に見出せない答えに振り回されていたら、伸びてくるその手に気付いた時には、遅かった。
遠慮なく縮まる距離に、バシッとその手を払い除ける。
行き場を失くし、だらっと視界から消えていく手にジワジワと後悔の念が押し寄せた。
Ki「……ごめん、体調…悪そうだなって思っただけだから。」
チラッと覗いた北山の表情にちくりと胸が痛む。
明らかにおれの方が辛く苦しい心情なはずなのに、どうしてこう…
北山の方が、ひどく苦しく辛そうに見えるんだ。
小さく、ごめんとだけ呟いてクルッと踵を返し足早におれの元を去っていく北山。
T「今のは絶対、がやの心配してこっち来たんだよ。」
そんなこと…言われなくてもわかってる。
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ちび(プロフ) - めっちゃ楽しすぎました、パララブ不思議な世界観めっちゃ好きでした、長い間2人外にいたから、楽屋での5人は心配だったでしょうね。続妄想してます。楽しい話でした💓❤️ラブラブ藤北可愛いすぎました。 (2023年4月20日 23時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - はじめまして。先程、こちらの昨日を読ませていただきました。思いもかけない展開に、ドキドキして一気に読み進んでしまいました。想像出来ない展開、すごく面白かったです(o^^o) これから他の作品も読ませていただきます(o^^o) (2021年6月24日 22時) (レス) id: 879c96607e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - くらげさん» くらげさん!!お返事遅くなりごめんなさい(^◇^;)私も愛されまくりのみっちゃん大好物です笑私もくらげさんのお話全力待機してまーす!!いつもありがとうございます! (2020年8月5日 17時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 蜜柑さん、完結お疲れ様でした!この2人はこれから先もずっとこんな感じでラブラブなんだろうと思わせて貰えてとても幸せな気持ちになりました!ありがとうございます(*´ω`*)明日〜も楽しみにしておりますし総受けも是非読みたいです!愛されKさん幸せすぎます(〃ω〃) (2020年8月2日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - たまちゃんさん» こんばんは!本当ですか?!(^◇^;)ひとりでもいらっしゃるなら嬉しいです!! (2020年7月30日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2020年1月26日 19時