ナイショの恋していいですか？

１９.Ｆ ページ19

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リアルでも、幸せだと感じていたゲームでも未来(さき)の見えない答えに悶々としたまま、ただ時間だけが過ぎ去っていく。


いくら考えたって、やっぱり北山は俺のモノにはならないんだとその答えだけがおれの心に深く、根付いている。


ぼーっとする時間が増えて、楽屋にいても考えたくもない思考に埋め尽くされていくことに苛々していた。
それを自分でもしっかりと認識していた。


Ｔ「がや、大丈夫？」


そんなおれの機嫌なんて物ともせずに話しかけてくるのは、相変わらずのたま。
自分でも嫌だと思ってしまうのに…、本当こうゆうとこ尊敬してしまう。


たまのひょっこりはんから、スッと視線を外して俯く。特に見る気もないくせに、何となくスマホを弄りながら、話しかけるなオーラを醸し出してみる。


それでも関係なくたまはたまで。


Ｔ「今日、相当機嫌悪いよね。」


わかっているなら、話しかけないでほしい。
とにかく静かに過ごしたい。


無言を貫き通すおれに、ため息混じりのたまの声が響く。


Ｔ「みつ…、」


小さく呟かれた言葉に、目敏く肩が揺れてしまう。
意識的にどうにかしたくても、結局、身体は素直に反応するんだから。
認めたくもない自分の反応に、思わず苦く笑う。


北山の名前を呟いたまま、一向に先へ進まないそれに不機嫌なまま俯けていた顔を上げる。
それに見兼ねたようにニッと唇をあげて、小さく笑うたま。


(…しまった、)


これは確かにたまの策略だろう。


Ｔ「やっとこっち見たじゃん(笑)」


たまのセリフに、顔を上げてしまったことを少しだけ後悔する。
それでも何もしないわけにはいかないから、ムッとしたままやっと初めて口を開いた。


「……なに？」


Ｔ「なにって…、何が？(笑)」


自分から話しかけておいて、こうやって惚けるような仕草。わかっているくせに、それでも飄々とやってのけてしまうたまに、苛々も収まってくる。


少しだけ息を吐いて、気分を落ち着かせる。


「……きたやま、」


Ｔ「ん？」


「北山が、どうかしたの？」


ああっ、なんてわざとらしく声を上げて思い出したかのように振舞うたま。もういちいち気にすることにも疲弊するから、サクッとスルーを決め込む。


Ｔ「みつ、情緒不安定じゃない？」


…時々、たまの言葉の解釈に時間を要してしまうけれど、今日は一段となにを言ってんのか理解に苦しむ。


北山が情緒不安定って…、


それを聞いておれはどうすればいいんだ…。

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