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バタンっ、
ウトウトしていた眠気が一瞬にして冴え渡る。バタバタと聞こえてくる足音に深く沈んでいた重い腰をあげる。
「…今日は来ないかと思ってた。」
F「なんで?」
不思議そうな表情で小首を傾げながら、カバンや貴重品をカウンターに並べていく。おまけにお気に入りの時計まで外して。
慣れたように冷蔵庫漁って、いつからか置くようになった専用の水に手を伸ばして、口に含みながらテーブルへと身を預ける。
憎たらしくもモデルのような出で立ちに、不意にキュッとおれの胸を掴んでいく。
そういうとこ、本当にタチが悪い。
「…泊まってくんのかなって。」
そんな甘い雰囲気を目の前で体感したから。どっちが恋人かわからないくらいに。
F「…北山、」
さっきの光景と重なる。同じように、今度はおれに差し出された手のひら。一瞬、躊躇する…けど、拒否なんてしない。
誘われるように藤ヶ谷に引かれて、その胸にポスッと身を預ける。おれの肩口に顔を埋めて、囁くように告げる。
F「…ねぇ、抱きたい。」
(さっき散々やってきたくせに…)
揺れる髪の毛に優しく手を伸ばす。ふわふわとその感触を堪能しながら、藤ヶ谷の頬に遠慮がちに唇を落とす。
それを合図に重なる唇。お互い、貪るようにその唇を味わいながら、最後にコツンとオデコが触れる。
F「きたやま、お願い。」
またその瞳。その懇願するみたいな表情。
いつだってお前は、哀しく切なそうにおれを抱くんだ。
…それって後ろめたいから?
おれに対して少しでも悪いって感じてるから?
一体、お前はなんでそうやっておれを求めるんだろう。
もっと、普通に求めてよ。
そんな苦しそうな表情しないで。
まるで…お前の方が傷付いてる。
おれが悪いことしたみたいに。
「…わかったから、泣くなよ。」
F「……泣いてないし。」
「そうか?(笑)」
(おれには、泣いてるように見えるよ。)
繋がれた手を引いて、今度はおれが藤ヶ谷を導く。
薄暗い部屋を辿って、変えたばかりのシーツの上にそっと寝っ転がる。
間接照明に照らされて、余計に切なげに揺れてみえる瞳。その瞳を隠すみたいに藤ヶ谷がおれの首筋に埋もれる。
F「…ごめんね、北山。」
くぐもって聞こえてきた言葉に、なぜだか無性におれの方が泣きたくなった。
謝ってなんかほしくない。
欲しいのは、ただひとつだけ。
お前の心が…欲しいんだ。
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蜜柑(プロフ) - 絢音さん» 絢音さーんヽ(^◇^*)/ ワーイコメントとっても嬉しいですーありがとうございます!!どうにかこうにかカタチにしましたが大丈夫でしょうか…オマケは私の欲望満たすために書きました笑 (2019年10月4日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 蜜柑さん♪完結おめでとうございます!両想いのはずなのに拗らせ輔ちゃんが暴走しまくっていてハラハラしましたが、ようやくお互いの気持ちが分かった時はホッとしました!オマケのみったん…最高です(〃ω〃)ありがとうございました♪ (2019年10月4日 6時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - まりさん» こんにちは!コメントありがとうございます(T ^ T)とっても嬉しいです〜〜是非また遊びにいらして下さいませヽ(^◇^*)/ ワーイこれからもよろしくです♪ (2019年10月3日 11時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 藤北ラブさん» こんにちは(*^^*)こちらこそ最後まで読んで頂き感謝です!楽しんで頂けたなら嬉しいです!ありがとうございましたヽ(^◇^*)/ ワーイ是非またいらして下さいませ☆ (2019年10月3日 11時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 蜜柑さん。こんばんは!毎回更新楽しみにしてました!藤ヶ谷さんの狂ってる愛情も最後のみっくんの可愛さも最高でした!素敵なお話ありがとうございます!またお話楽しみにしています! (2019年10月2日 22時) (レス) id: 9c7317f745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年5月29日 18時