12.Ki ページ12
首筋にかかる甘い吐息。時々息苦しそうに吐き出されるそれにビクッと身体が竦む。
「っ…ん、藤ヶ谷っ?」
そっと振り向き様に呼んでみても、そうやって首筋に顔を埋めたままピクリとも動かない。
こそばゆい感覚に身体を捩れば、グッと背後から羽交い締めされる。
「ちょ…っ、藤ヶ谷っ、」
(そもそもこんなところで、こんなこと…っ、)
そのまま先へと流されるのが嫌で、幾分か強い力で抵抗すれば、くぐもった声が聞こえてくる。
F「…きたやま、」
ボソッと呼ばれた名前に伺うように藤ヶ谷を見つめる。
「…っ、なに、」
F「…このままジッとしてて。」
言い終わる前に遮られた言葉。セリフとともに縋るような仕草。背中から感じる重みに、まるでその言葉が呪文のようで動けなくなる。
藤ヶ谷に抱かれるまま為すすべもなく、その時間が静かに通り過ぎるのを待つしかない。
「…あの子と約束してたんだろ?…いいの?」
ただただ時間だけが過ぎるのが嫌で、まるで独り言のように漏らした言葉。
ちゃんと聞いていたようでピクッと藤ヶ谷の身体が震える。
おれの首筋に顔を埋めたまま、うんともすんとも言わない藤ヶ谷。
(…関係ないおれが触れてくんなって感じ?)
藤ヶ谷の行動の意味も思考も…なんでおれと付き合ってくれてんのかも、全然わからない。
離れたくない。
手放したくなかった。
けど、もう。
…藤ヶ谷の好きな気持ちが、どうにかなっちまいそうで。
「……ふじがや…、」
F「嫌。」
別れよっかって言ってしまおうとした。
それを言ってしまう前に、藤ヶ谷の間髪入れずに、はっきりとした言葉。
F「…ねぇ、抱かせて。」
今、気持ちを固めて覚悟決めて藤ヶ谷から離れようとしたこんな時に。
藤ヶ谷は、残酷にそう告げる。
チクッ
まだ了承した覚えなんてこれっぽっちもない。
なのに、首筋に走る甘い痛み。ビクッと震えるおれなんてお構いなしに、藤ヶ谷の唇がおれの首を滑る。
「…っ、ん…、」
ダメだって、頭の中では理解しているのに藤ヶ谷からのキスひとつで疼く正直すぎる身体。
首筋にキスを落とされたまま、背後から何の躊躇いもなく、藤ヶ谷の手がおれのお腹に侵入してくる。
「…っ、ダメだって、」
シャツの隙間から侵入した藤ヶ谷の手が、厭らしくおれのお腹を行き来する。
ピタリと止まったその場所に、ゴクリと喉が鳴り…少しだけ息を呑む。
F「ね、北山。」
そんな声で…呼ばないでほしい。
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蜜柑(プロフ) - 絢音さん» 絢音さーんヽ(^◇^*)/ ワーイコメントとっても嬉しいですーありがとうございます!!どうにかこうにかカタチにしましたが大丈夫でしょうか…オマケは私の欲望満たすために書きました笑 (2019年10月4日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 蜜柑さん♪完結おめでとうございます!両想いのはずなのに拗らせ輔ちゃんが暴走しまくっていてハラハラしましたが、ようやくお互いの気持ちが分かった時はホッとしました!オマケのみったん…最高です(〃ω〃)ありがとうございました♪ (2019年10月4日 6時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - まりさん» こんにちは!コメントありがとうございます(T ^ T)とっても嬉しいです〜〜是非また遊びにいらして下さいませヽ(^◇^*)/ ワーイこれからもよろしくです♪ (2019年10月3日 11時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 藤北ラブさん» こんにちは(*^^*)こちらこそ最後まで読んで頂き感謝です!楽しんで頂けたなら嬉しいです!ありがとうございましたヽ(^◇^*)/ ワーイ是非またいらして下さいませ☆ (2019年10月3日 11時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 蜜柑さん。こんばんは!毎回更新楽しみにしてました!藤ヶ谷さんの狂ってる愛情も最後のみっくんの可愛さも最高でした!素敵なお話ありがとうございます!またお話楽しみにしています! (2019年10月2日 22時) (レス) id: 9c7317f745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年5月29日 18時