Ｆ×Ｋｉのハニーデイズ。

２.嫉妬爆発注意報発令中…Ｆ ページ8

こんなモヤモヤした時に空気の読めないマネージャーが言う。


マ「出来立てホヤホヤですよ！皆さんどうします？(笑)」


ＳＭ２「見まーす！！！(笑)」


それなりに時間に余裕があって、まさに暇つぶしの最適に相応しいもの。
そりゃ、そうなるでしょ。


今、ここで？
あれ見るの？


正直見たくないですなんて、そんなおれひとりの意見なんて通るはずも無く、おれの気持ちを無視して進みに進む特典映像。


Ｍ「次、ぐるぐるバット相撲だ！」


２「あれ、マジおもろかったね。今思い出しても爆笑もんだわ(笑)」


Ｓ「おれ負けっぱなしのヤツじゃん(笑)嫌だ〜〜」


最高潮に盛り上がる中、このまま黙ってあれを見なくちゃいけないのかと憂鬱すぎる。
自身の思いに振り回されながら、みんなに気付かれないように静かに席を立つ。


コソッと楽屋を抜け出そうとすれば、


Ｔ「みつ抱っこしたやつだ〜本当、小ちゃいわ(笑)」


言いながら、あの映像のデジャブ。
まさにそんな感じで、たまが北山に向かって大っぴらに向かう姿勢。


思考回路は至って普通なのに、反射的に動いてしまう身体。
たまに埋もれてしまう前に、咄嗟に引いてしまった腕。


Ｔ「あれ(笑)ちょっと恥ずかしいやつじゃん。めっちゃスルーじゃん！やめてよ(笑)」


たまが行き場を失った腕を挙げて降参ポーズ。
おれが取った行動に不思議そうに集まる視線。


Ｋｉ「……藤ヶ谷？」


掴んだ腕に熱が集まる感じ。
カッと上がる体温に、思わず払い除けるようにその腕を手放す。


「ごめん、何でもない。」


それだけ言って、逃げるように楽屋から出て行く。


なにやってんだ、おれ。
無意識って本当怖い。


思いながら人気の少ない自販機裏へと引っ込む。
そのままズルズルとしゃがみ込んでしまえば、急に暗くなる頭上に、戸惑いながら埋めた顔を上げる。


「…北山、」


Ｋｉ「どうした？具合悪い？」


「…なにしてんの、」


「いや、なにって藤ヶ谷こそ…、」


どうしたのって、心配そうな眼差しで繰り返す。
元凶は貴方ですよ。って言ってやりたいけど意外にも鈍感な北山にそこまで求めてしまうのもどうか。


そんな悶々と答えの見えない悩みに振り回されながら、去り際にポケットに突っ込んできたものを取り出す。


不思議顔で見下ろす北山に向かって、突き出すように差し出す。


「こんなお祝いでごめんね。ちゃんとするって言ったのに。」


これはたまと北山に対するささやかな抵抗だ。

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