Ｆ×Ｋｉのハニーデイズ。

２.３秒で落ちる…Ｆ ページ5

わたにぶつけても意味ないのに。
我慢せずにはいられない。


「…なにがあんなに嬉しいんだか。大倉くんとご飯行くってだけでヘラヘラしちゃって。」


Ｙ「…太輔、何言っての。」


「北山だよ。最近特に。色んな人に妙に馴れ馴れしい。そのくせ、おれらとは馴れ合わないし。」


Ｙ「いや、それは昔からメンバーと一緒にいるし。今更馴れ合いとか…、にかちゃんとか裕太とか、みつ一緒にいるじゃん。」


「にかとかたまとか…ね。おれとか全然…、」


わたとのキャッチボールをしながらハッとする。
いやいや、そうだよ、何言ってんだおれは。


我に帰った途端、自分のあまりにも我儘な発言に吐き出した言葉を止める。
お互いの間を流れる沈黙。


こんなこと、わたに言ったの初めてだし。
この空気がよりおれを一層責めている気がする。


「…ごめん、今のナシ。忘れて？(苦笑)」


流れる空気に耐え切れず、沈黙を破ったのはおれ。
とりあえず、もう笑って誤魔化すしかない一択。


ヘラっと笑ってわたとのことをやり過ごそうとしたら、こんな時にとんでもない爆弾を落としてくる。


Ｙ「……太輔って、みつのこと好きなの？」


「………っ、」


(はぁぁあ？！！)


あまりのぶっ飛んだわたの解釈に、開いた口が塞がらない。
それから、全力で否定する。


だってそんなの可笑しいでしょ。
男が男に好きってなんだよ。小説の世界じゃねんだっつの。しかも北山って…、


名前を付けられたそれに、無意識に追いかけてしまう北山への視線。


追い討ちをかけるようにわたが続ける。


Ｙ「だって今のってヤキモチでしょ？」


「っ、ヤキモチって、」


Ｙ「みつに構ってもらえなくて寂しいんでしょ？」


「っ、落ち着け…、わたっ、お前何言ってるかわかってんの？！」


Ｙ「おれはいつにも増して冷静ですけど。」


飄々と言ってのけるわた。
いや、おれだって普通だよっ！！！


そう叫ぶより前に依然と続ける。


Ｙ「いいじゃん、おれ応援する。」


「ちょっとっ、色々キャパオーバーだからっ、」


最早止まりそうにないわたの言い分に、おれの奥底でなにかが出てきそうになる。
そのなにかは多分、触れてはいけない何かで。
無意識に触れないように閉じ込めていた何かで。


Ｙ「おれに隠し事なんてしないでよ。」


にこにこと何でそんなに嬉しそうなのかわからないけど、タイミングいいのか悪いのか。


おれたちの前を横切ろうと近付いてくる北山。


ドクンって、心臓が鳴る。

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