8.T ページ8
待ち合わせの居酒屋さんに少し遅れてやってきたみつ。どこか嬉しそうに微笑みながらやってきたみつを見て、ピンとイヤな直感が働いた。
Ki「わりぃ、遅れた。」
「うん。大丈夫。」
ニコニコと嬉しそうに笑いながら俺の隣に腰を下ろすみつ。
ふわっと香った独特の香りにドクンと心臓が跳ねる。みつに似つかわしくないその香りは…よく嗅ぎ慣れた香り。
ほんの微かな匂いだけどいつもと違うみつの雰囲気に合わさってすぐに何があったのか理解してしまった。
「…なんかあった?」
当たり障りなく、本当は聞いてしまいたい本音には触れずに軽い感じでみつに尋ねる。
Ki「何が?(笑)」
「なんか楽しそうだから。」
みつとは反対にちっとも気に食わない気持ちでそう言えば、にこにこと笑っていた表情が急に真顔になる。
Ki「たまちゃんとメシ行くの久しぶりだからじゃん。」
何当たり前なこと聞いてんだよ、そう付け加えて俺の背中を痛いくらいにバシバシ叩いてくる。
上手く、はぐらかされた…。
そんな気がする。
だって、みつから香るその微かな匂いは、がやの香水でしょ?
がやの残り香が移るくらい二人でいたってことくらい俺でもわかる。
俺にがやのことは一切触れずに話してくるみつが、逆に俺の心を苦しくさせる。
計算?単に言う必要がないだけ?
そんな虚しい葛藤に自嘲気味な笑みがフッと溢れた。
「…みつは、時々残酷だよね(苦笑)」
Ki「たまちゃん?」
「何でもなーい。」
みつのことだもん。
きっと色々察している。それなのにあえてそれをスルーするみつの気持ちは、どんな気持ち?
俺がちゃんと聞いたら…みつは応えてくれる?
吐き出せない思いを抱えてお酒のペースがちょっとずつ上がる。
Ki「たまちゃん、大丈夫?飲み過ぎじゃない?」
「へいきへいき。」
ヘラッと笑いながらカウンターにうつ伏せる。腕の隙間からみつを見つめれば美味しそうにおつまみを頬張るみつ。
「可愛いなぁ。」
Ki「ん?」
もぐもぐ詰め込んだモノしっかり咀嚼しながら俺に視線を落としてくる。
「みつは可愛い。」
絡んだ視線にもう一度はっきりとそう告げる。
俺の言葉にみつのニコニコ笑顔がぴたりと止まる。
カウンターにうつ伏せたまま俺の頭で下敷きにしていた腕を伸ばす。
ふわりと触れたみつの髪の毛が小さく揺れる。
Ki「…たまちゃん?」
「俺がさ、今…好きって言ったらみつは応えてくれる?」
酒の力って…怖い。
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2017年7月19日 22時