3.T ページ3
危ない危ない。
俺としたことがギリギリになるなんて。
寝坊してしまった時間を後悔しつつ足早に楽屋へと向かう。
本当はあの二人よりも一番乗りでここに来る筈だったのに。
懐かしい友達と再開したせいでまさかの展開だ。
ダメだ。
昨日はちょっと飲み過ぎてしまった。
ガンガンとふらつく頭を抱えながら目的地の部屋へと急ぐ。
「まえあし」なんてちょっと笑ってしまう見慣れない名前を確認しつつ、部屋の外にいても感じる独特の雰囲気に潰されないように勢いよくその扉を開いた。
案の定…漂う甘い雰囲気。
珍しく寄り添う二人の距離感に、ムッとしてズカズカと素早くその二人に近付く。
当たり障りなく二人を見やりながら問いただせば、
Ki「…っ、な、なんでもないよ。たま、遅かったな!」
俺を見て固まっていたみつがハハッと焦ったように笑って急な勢いでそこから距離を置く。
「そう?」
同じように俺も笑って返しながら、ちらっと盗み見みた先、行き先を見失ったがやの手がお手上げとでも言うかのように曖昧に笑って肩を竦めてみせた。
それから読み取れない表情を浮かべたまま、ばっちりと絡み合う視線。
途端に、ニッと意地悪く笑って手元の雑誌へと視線を落とすがや。
残念…とでも言いたいのだろうか。
悪いけど、俺にだって譲れないものがある。
Ki「おーい、たまちゃん?どうかした?」
ぼんやりとがやを見つめていたら目の前のみつがひらひらと手を振るう。
飛んでいた意識を引き戻して、
「なんでもな〜い。」
言いながら、目の前で振るうその手を両手でギュッと握りしめた。
…悪いけど、俺だって本気なんだ。
みつを好きになって数年。
俺と同じ想いを抱えたヤツを見つめて、これ見よがしにみつに抱きつく。
俺ならではの役得だよ。
こうでもしなきゃ…がやには敵わない気がして。
だから、使えるものは何だって使うんだ。
それくらいみつが大好きで。
…がやには悪いけど、みつは絶対譲りません‼‼
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2017年7月19日 22時