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14.T ページ14

嫌な予感はずっとしていた。
牽制のつもりでこれ見よがしにがやの前でいちゃついて見せたのに裏目に出てしまった。


がやより先手必勝。
そんな心意気で存分にみつとの時間を楽しんでいたのに、訪れる時間はおれの心とは裏腹にその別れを告げる。


「みつ、Mステ頑張ろうねっ、(泣)」


Ki「いいから早よ行け!(笑)」


みつの頭を掻き抱きながら別れを惜しんでいたら、面白おかしく手を振られて背中を押される。


泣く泣くドラマ現場へと向かう俺。
渋々後ろ髪引かれる思いで出てきたものの…


「肝心の台本忘れちゃったよ…」


みつにたるんでるって怒られちゃうなぁなんてそれもイイとか気持ち悪いこと考えてたら、開けた向こうの先、誰もいない楽屋にぶるっと身震いした。


何となくレッスン室へと想いを馳せる。
早くそこに行きたいのに、中々動かない足。


ビビっているんだろうか。
二人の関係に。
曖昧な空気に。


その先の予感に。


張り付いたレッスン室。
何も聞こえない意味深な空間に、たらっと冷や汗が流れてくる。


躊躇している時間はない。
静かに、でもはっきりとわかるようにその重い扉を開ける。


踏み止まる身体。
倒れこむ二人の姿にもうあれこれ考える余裕はない。勢いに任せてそこへ飛び込む。


だから…みつはおれのだぁぁぁぁあああ!!!


「ギリギリセーフってゆうかもうアウトだよね、がやズルくない?」


F「……たま、それ放して。」


「やだ。」


おれとがやの攻防戦に慌てふためくみつを他所に、バチバチと睨み合いが始まる。


何でキス?
いきなりキス現場ってかなりクルんですけど。


そう言ってしまいたい言葉を飲み込んで、


「ね、みつ。おれ…好きって言ったじゃん。おれのこと放ったらかしにしないで?」


Ki「っ、//ちょ、たまちゃん…こんなとこでっ、」


捕まえたみつが羞恥に染めた頬をさらに真っ赤にして上向く。
その仕草にドキッとする。
みつは…いつもズルイ。


簡単におれを落としてしまうんだから。


甘くトキメク二人の世界…


F「なに、おれを無視して甘い雰囲気醸し出してんの?」


甘いあまーいみつとおれの時間。


「…邪魔しないでよ。」


F「どっちがだこら。」


言いながらクンッとみつがおれの中からすり抜けていく。
渡さない、言葉にしなくてもがやの視線がそう言っている。
それに反抗してグッとみつを抱きかかえる。


そんな一進一退の攻防。

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2017年7月19日 22時

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