１２.Ｆ ページ12
静まり返るレッスン室。
ただただ…おれと北山の息遣いが響くだけ。
「……おれ、どうすればいい？」
Ｋｉ「…？」
おれの胸元で潰れていた北山が、ムクッと遠慮がちに顔を上げる。
擦れた鼻の頭を撫でながらおれを見上げる北山は、きっと無意識だ。
そうゆうの、
そうゆうの…ばっかりだ。
「…たまみたいに好きって言えば、北山はどうする？」
Ｋｉ「…っ、ぅあ⁈//」
「たまに好きって言われたんでしょ？」
確信を突くように北山を見据えて聞く。
それに気まずそうに視線を逸らす北山。
ぐいっ、
「こっち見て？」
Ｋｉ「…っ、//う〜〜、」
まともにおれから顔を背ける北山のほっぺを鷲掴みにする。
グッと無理やりこっちに向ければ、ぼんやりと頬を染めた北山が泣きそうになりながらおれの胸を軽く小突いてくる。
それからだんだん、言葉にできないもどかしさを押し付けるみたいにポンポンおれの胸を繰り返し叩いてくる。
終いにはじんわり滲む北山の瞳。
「…ちょっとちょっとっ、なに…、」
Ｋｉ「っ、お前も…たまも、何なんだよっ、」
むかつく…
聞こえないくらいの小声で北山の口元が動く。
Ｋｉ「……そうゆうのじゃないとダメ？」
さっきまでお淑やかに涙ぐんでいた北山。
不意に漢らしい雰囲気を醸し出しながら、俺の目を見据える。
「…なにが？」
Ｋｉ「その…っ、好き…とか//…ないとダメ？」
遠慮がちに俯きながら北山がポツリと呟く。
俯く北山の髪にそっと触れる。
「…おれは、欲しい。」
言いながら、北山の背中にゆっくりと腕を回す。
ダイレクトに伝わる北山の抱き心地を感じながら、ビクッと震える北山の髪にそっとキスを落とす。
Ｋｉ「っ、欲しいって…、//」
困ったように眉を潜めながら、北山がおれを見降ろす。その頬に指先を這わせれば、肩を竦めながら仰け反る。咄嗟に離したくないとばかりグッと腕の力を強くする。
「たまとばっかり…本当、嫌になる。おれの気持ち知ってて弄んでたんでしょ？」
優しい手付きとは裏腹に、今朝から募る鬱憤を北山へとぶつける。
Ｋｉ「っ、そんなこと…してな、」
「北山はどう思ってるの？ちゃんと聞かせてよ。たまにもおれにも失礼だって思わない？」
歯切れ悪く何度も言い訳する北山を無理やり遮る。
口ではどうこう言ったって、身体は正直でしょ？
ポカポカ香る北山の体温を真に受けながら、ジッとその瞳を見つめた。
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作者名：蜜柑
| 作成日時：2017年7月19日 22時
