Phantom of the Office

7* ページ8

Side Miyata





玉と知り合ってから３ヶ月が経った。






初めて声を掛けたのは俺の方。


なんか入社式で玉は寂しそうな感じしてたからとりあえず声かけた。






俺も俺で結構なオタクだし、今までそれに対する偏見に合わなかった訳じゃないし、



だからまぁ大人しそうな友達の方が良かったんだよね。






しかし、会話を重ねることにだんだん出現し始めた玉のＳ加減。(笑)






俺ホントはそんなにＭって訳でもないんだけど、


玉ならなんか許せちゃうし、いじられて嬉しい自分がいてまぁまぁびっくりした。







……それはもう玉が、本当に俺のことを嫌って言ってるわけじゃないって確信が持てるから。



あ、いや、これは別に自意識過剰とかじゃなくてよ？






まぁなんとなーく感じる。


俺達は多分、分かり合える点が他の人より多い気がする。






そんな玉が最近ちょっとおかしい。


おかしいというか、なんか結構疲れてるっぽい。






そりゃ新人でピヨピヨしてる俺達はまだ不慣れだし、

それなりに大変っちゃ大変なんだけどさ。





それにしても俺と同じ仕事してる割に疲れ方の差がすげぇな、みたいな。






ちょうどその時期に総務課の吉田さんの賄賂の発覚とかもあって、


俺も色々ヘコむことはあった。






社内も、それなりのポストの人の悪行が発覚したっていうんでめっちゃ混乱して。



同期がそれに対してブーブー文句言う中で、玉は1人でひっそりしてた。






玉は正義感の強い方かなって勝手に思ってた俺としては「あれ？」みたいな感じだった。







そんな玉が今日急に俺を飯に誘うという。


いつも誘うの俺からばっかりだったのに。





明らかに疲れてる玉の誘いだし、断った方が本人の健康とかにはいいのかもしれないけど、


なんかすげぇ誘ってもらったの嬉しくて行くことにした。






玉は自分から誘ったくせに俺と飲むのは嫌だ嫌だと言い、


そのくせ楽しげな顔を見せる。






こいつ確信犯なのかよとか思うけど、これが普通に自然体の玉森裕太。


かわいいとか真面目なトーンで思っちゃったし。




……いや〜、恐るべし玉森。






玉はもう店に着いた瞬間から俺からしたらありえないスピードでジョッキを空けていき、


制止する俺を振り切った上でベロンベロンになった。





とてもじゃないけど1人で家に辿り着ける状態でもなくて、


だからってオタク感溢れる俺の家に来させるのも悪いし、家まで送ることにした。

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