Phantom of the Office

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Side Tamamori





「うっ……ゲホゲホっ…はぁっはぁっ」





北山の社長就任スピーチを聞いていたら、


奴の俺に覆いかぶさる顔を思い出して、


吐き気と冷や汗が止まらなくなって、


なんとかその場所から出てきた。





「うっ…うっ……はっ」





トイレの便器にすがりつくかのように、


胃の中身を全て戻す。








北山のあの顔。


あの声。


「クリーンな職場環境」だと？







……あんな恐ろしい人他にいない。






俺を散々使って、悪用して、


俺は宮田のために全てを我慢して我慢して我慢して。





その挙句にそんなこと言えるんだ。







「イけよ」


「嫌だ……ああああうううううっあああっ」









フラッシュバックが止まらない。


生理的な涙が頬を伝う。








毎日毎日我慢してやっと解放されたのに。


全然幸せになれない。


宮田をこっそり見てる瞬間ですら、


愛しさが溢れて、それを押さえつけるのがつらくて、


哀しくて、胸が痛くて仕方がない。







家族と疎遠になった。


宮田を守りたいと思った。





その2つのためだけに、


俺は死んだも同然になった。






このまま吐いて吐いて倒れて死んでしまえばいい。


汚い姿で発見されて、


そのまま土に埋められればいい。









「みやた………うっ」


「みや…た…っ」









願わくば、その前に一度でいい。



宮田に会いたい。

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