Phantom of the Office

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Side Miyata






年が明けてバレンタインも過ぎた頃、


玉と話さなくなったことへの悲しみにももう慣れてきた頃、


あの北山が社長になった。






ついこの前まで新入社員だったのに、すごい大抜擢。


そんなに優秀なのか、


それとも物凄く狡猾なのか。



同期だけど年はだいぶ上だから、よくわからない人ではある。






「というわけで我が社ではこのような成長戦略を行い_____」


「よりクリーンな職場環境を目指し___」






彼の就任スピーチもあっぱれだ。


だから玉は北山と…？






あの駅で彼が玉をおぶって消えたのを見た日から、


玉は俺とは話さなくなり、代わりに北山と話すことが多くなった。





そのうち玉の部署は移動して、姿を見ることもなくなった。







でも俺は知ってる。


それは食堂で、トイレで、廊下で、





玉はまだ俺のことを見ているよね。



悲しそうな眼差しで俺のことを見ているよね。






なんでだよ、玉。


あのまま俺の告白を聞いてればよかったじゃんか。


あのままあそこにいて、俺の告白を聞いて、ただうんって頷いて、


そしたらそこから先に幸せな道があったじゃんか。






……なんで捨てたの？


玉もそれを望んでいるんでしょ？


俺だってそんな目で見られてたら忘れられないよ。


玉のこと好きな気持ちは消えないよ。







玉______


やっぱり好きだよ、愛してる。







北山さんなんか忘れてよ。


嫌だよ取られたくないよ。







かえってきて……

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