Phantom of the Office

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Side Tamamori





「宮田……ごめん、ごめんね…」


「何言ってんの、こんな病人連れて帰るのが当然」


「…っちがう、ぜんぶ、ぜんぶごめん」





俺がファントムの仕事のために宮田の誘いを断り続けたこと。


俺がしたファントム業務のせいでみんなに迷惑かかってること。


なのに宮田は俺を疑いもしないこと。


体調悪かった俺を連れて帰ってきて看病してくれたこと。


頑張んなくていいよって言ってくれたこと。






「何が。全部ってそんな大げさな。(笑)」






いつもみたいに優しく笑ってくれてる宮田。


23にもなって泣いてるのを優しくしてくれてる。






「…宮田……？」


「ん？何、玉」





その顔は優しくてあったかくて。


それは俺がずっとずっと欲しかった愛やぬくもりや優しさそのもので。





……でもだからこそ。


俺にはキラキラしすぎてる。


そんなの受け取れないよ。






……俺、ホントは分かってるんだよね。






海に行ったあの日から、


宮田に対する自分の気持ちがクリアになった時から。








宮田も俺のことが好きなんだね。







「玉？何？」






ねえ、


だからそんな目で俺を見るんでしょ？





俺を見る時はいつも、


こんな愛おしいもの他にないっていう目を宮田はしてるんだよ。






「だめだよ…っ…宮田……」


「え？玉さんいきなり説教スか？あはは(笑)」


「……」






だめだよ、宮田。


お前みたいなこんな太陽みたいな人が。


こんなクズみたいな俺なんか好きになったら。






俺、自分の家族に犯罪者みたいに思われてるんだ。


会社では毎日犯罪して金もらってるんだ。


しかも俺、自分でそれを望んだんだよ。







……会社をいずれ潰そうって、思ってた。


ファントムしながらそういう計画も立ててみたりもした。





でも俺やめたんだ。






なんでだと思う？







……だって俺、知ってるから。


宮田がいつも頑張って仕事してるの見てるから。






人のために頑張ろうって、


親孝行もしなきゃって、


宮田が会社で一生懸命働いてるから。






……そんな会社、潰せるワケないじゃん。









だから父さんの仇は取れないんだ。



……俺がファントムとして生きてずっと苦しまない限りは。









宮田をそんな真っ暗な未来に引き込むわけにはいかない。



俺に大事な人なんかいちゃいけない。

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