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Side Miyata
……最近玉が異常に忙しそうだ。
繁忙期に入ってるから当たり前なんだけど、恐らく玉は俺の数倍忙しいんだと思う。
飲みに誘っても、「無理」「つかれた」しか言わないし、最近はもう夕方になると机でダウンしてるようになった。
でも「手伝おうか?」って言っても「いや、いい」としか言われない。
……今も、
隣のデスクでグーグー寝てる玉。
部署の人間はみんな玉がめちゃくちゃ忙しそうにしてるの知ってるから何も言わないけど、
「…でも心配だよ……」
「……zzz」
周りに誰もいないことを良いことに、玉の頭を撫でてる俺。
目にかかった前髪をどけてやると、驚く程濃い隈が目の下に見えた。
……なんで。
俺と同期で同じ仕事してるのに?
同じ給料なのに?
なんでこんな疲れてる?
いくら繁忙期だからって、
ブラック企業じゃあるまいし多少の残業はあってもこんなことにはならないはずなんだ。
玉は他にも家族のこととかで色々とワケありっぽいけど、
それにしてもおかしい……
別に玉を疑うわけじゃないけど、
でも何か隠してるんじゃないの?
……それって俺にも言えないこと?
確かに玉は、酔わないと本音が言えないところがある。
酔わないと甘えられないし、泣けない。
……だけど最近は、俺には素面でも本音を話してくれてるんじゃないかって、
思うことが何回かあったんだ。
ただ普通に「疲れた」とか「もうヤダ」とか、そんな感じのことだったけど、
玉は俺以外にそんなこと言わないみたいだから。
だから俺には本当の気持ちを言ってくれてるって、そう思ってた。
「でも違ったんだね……」
「……zzz」
綺麗な鼻筋を指でなぞると、玉は僅かに顔を歪めて。
「…ん……みや…た…」
「…たま?」
寝言で俺の名前を呼んだんだ。
「……もうやだ………つらい……」
「玉?」
「かえりたい…っ……みやたのいえ……」
目は開いてないけど、多分寝言なんだろうけど、
……でも切実な声だった。
「俺の家?」
「ん……んぅ…っ」
「…!」
玉の睫毛の先から、涙がポロリと落ちた。
その水滴はそのまま玉の頬を伝って、俺の指まで落ちる。
「…わかった。帰ろう、玉」
「起きて」
俺は玉の肩を揺すった。
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ほか - 最新話まで一気に読ませていただきました(^^)りんごさんのペースでよいので是非この先を更新してほしいです!楽しみにしております! (2021年9月4日 21時) (レス) id: d8f5e0d33c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» まだ読んでいただけたなんて!嬉しいです…本当にありがとうございます! (2020年10月3日 23時) (レス) id: b136585c56 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさん、更新ありがとうございます!ここは更新されるたびに楽しみに読ませて頂いています!この先…ミヤは裕太を守って欲しいですね。更新のんびりゆっくりお待ちしていますね。 (2020年9月11日 4時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - まほままさん» 返信してなくてごめんなさい、ありがとうございます! (2019年7月26日 18時) (レス) id: f95f9b47d8 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - りんごさんこんばんは。ちゃんと読んでいますよ!お待ちしてましたから。大丈夫です、私ものんびりしてますから〜。やっとみっくんから解放された玉ちゃん…みやっちとうまくいくといいんですが…。まったりとお待ちしてます。 (2019年1月17日 21時) (レス) id: de2262a235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2017年4月22日 18時