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宏光は動かなかった。
同じように、ゆっくりと瞳を閉じた。
Aは思った。
遠い昔…
きっと、その時も
こうして、太輔の前で瞳を閉じたのだろうと。
すぐ近くで爆撃の音が鳴っていた。
「いつか太輔兄さんが言ってた。この地下には秘密の基地があるんだって」
『それでこんな人気のないところを爆撃してるのか』
爆撃の風すら感じられるようになってきた。
危険な空気がすぐそこまで迫っている。
『でも僕には関係のないことだ』
「そうね、今の私にも関係ないこと」
赤い丘の向こうが激しく燃え上がっていた。
その焔は少しずつ輪を狭めるように
ふたりに迫っていた。
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作者名：葵井あい | 作成日時：2019年1月10日 7時
