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裏切者…


それはスパイが背負う十字架。


宏光はそれを知らない。


宏光が自分自身を卑下するために言った言葉だ。


他意はない。


Aは自分に言い聞かせるように言った。



「宏光は誰も裏切ってなんかない。自分に正直なだけだよ」


『A…』


「太輔兄さんも同じ事を言うと思うよ。きっとわかってくれる」


『そうだといいんだけど…』



Aは太輔と宏光と一緒に暮らしたかった。


太輔のために


宏光のために


生きたいと思った。



でもあの


「赤い丘で待ってるよ」


という声を忘れたわけではなかった。

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作者名：葵井あい | 作成日時：2019年1月10日 7時

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