見せつける ページ49
席に着くなりスルッと溶けたよう机に突っ伏す誠士郎。
その姿は形が不安定なスライムみたいだった。
「俺めんどくさい事なんてしたくないのに…。」
『ならハッキリ断りなよ。』
「Aが断っておいて?」
『ちゃんと自分の口で言いましょう。』
「…けち。」
そう言って口をムッとさせているが、サッカーに誘われたのは私じゃなくて誠士郎。
だから自分の口で言わなきゃ意味がない。
『四限は選択授業だから忘れないでよ。』
「りょーかい。」
選択授業は世界史。
「すぴー。」
いつもの如く隣から聞こえる寝息と、その様子を私を挟んだ席から見ている第三者の視線。
御影くんだ。
偶然なのかあえて被せてきたのか分からないけど、その目は誠士郎を捉え右手には消しゴムを持っていた。
『(え?)』
何の迷いもなく消しゴムをヒョイっと投げると、誠士郎の頭にコツンと当たり思わず飛び起きた。
「ミ、ミノフスキー粒子です。」
ちなみに今は世界史の授業中。
「世界史の問題!単位落とすぞ!」
「ぎゃっはははは。」
教師がそう答え注意すれば教室は笑い声に包まれた。
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作者名:まるこめみそ | 作成日時:2023年11月26日 15時