白と出会う紫 ページ45
その反応は至極当然で、むしろ「何言ってんだ」と返されても仕方ないくらい。
「サッカーなんてやんないし、スポーツもやったことない。一生ダラダラして過ごしたいんだよね、おれ。お金ちょーい。」
『だから…。』
私が嗜めようと口を開けば、御影くんが誠士郎に詰め寄ってきた。
「いやいやさっきのトラップとその体格！絶対才能あるよおまえ！」
ガンガン来られ少し引き気味の誠士郎、こんな姿は初めて見たかもしれない。
「おれとサッカーやろう！がんばりゃプロも夢じゃないって！」
「がんばんなきゃダメなんて、サッカーってめんどくさいね。」
「頑張る」事を理解できない誠士郎には響かない。
この言葉に御影くんは目を見開き「理解不能」と言った表情になる。
「めんどくさいの嫌いだし、働きたくなーい。A帰って続きしよ。」
『あ、うん。』
「おもしろい！お前はそのままでいい！」
そう言って誠士郎に抱きつき肩に腕を回した御影くん。
その表情はどこか嬉しそうに見えるし、目がキラキラと輝いていた。
「サッカーやろうぜ！」
「いや、やらないし。A帰って続きしよう。」
『あ、うん。』
私の手を引きその場を後にしようとすれば、背後から言葉をぶつけられた。
「俺は欲しいと思った物は必ず手に入れる！」
「…お金持ちの息子めんどくさー。」
『嫌なら断り続けるしかないね。』
めんどくさがり屋の誠士郎が何かに『熱くなれる日』は来るのだろうか。
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作者名：まるこめみそ | 作成日時：2023年11月26日 15時
