呼び出される無自覚な彼 ページ43
去年は一色先生だったけど今年は、お腹がぽっこりとしてよく汗をかく男の担任。
その担任が私の隣の人物を見ながら口を開いた。
「凪誠士郎、あとで職員室に来なさい。」
どうやら呼び出しのようで『何したの?』と聞けば
「国語のテストで赤点取った。」
『…それは自業自得だね、ご愁傷様です。』
「俺あの担任ちょっと苦手、だから職員室の外まで着いてきてよー。」
『えぇ、私も?』
「今度お昼に飲み物奢るから…お願いします。」
そう言うと両手を顔の前に合わせ”お願いのポーズ”をとる。
担任を気の毒に思いつつ『いいよ』と返事をした。
「じゃあすぐ済ませてくるから。」
職員室に入る大きな背中を見送った。
ガラガラ
「失礼しました。」
『おかえり。』
「説教された、将来のこととか。」
問題集を片手に歩く生徒、学習スペースが満員の図書室、みんな「将来」の事を考え行動する時期に来ていた。
「やればできるのに何故やらない?頑張れば一流大学も夢じゃないってさ。」
『うん。』
「だから「頑張れ」っ言われてもよく分からない。勉強だって覚えたいって思えば覚えられるし…。」
それは誠士郎が頑張らなくてもできてしまう無自覚の天才だから……人の努力や頑張りが「理解」できないんだと。
本人には言わないけど私はそう思っている。
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作者名:まるこめみそ | 作成日時:2023年11月26日 15時