予感 ページ42
「Aー。」
「Aあーん。」
「凪くん、たまには自分で食べなよ?」
「今日もAに食べさせてもらいたい気分なの。」
牽制し合うかのように話す
私に話を聞いてもらいたい親友、お昼を私に食べさせて欲しい彼氏。
その板挟みになっていた。
『話も聞くし、パンも食べさせてあげるから。』
「聞いて〜!」
「もぐもぐ。」
御影くんとクラスが一緒になったうえ、席が隣同士になって大変だと嘆く梨沙。
「休み時間になるたび御影くんの席に男女問わず人が集まってきて、気が休まらないし女子の視線がちょっと怖い…。」
御影くんはいわゆる「エリート」だがそれを鼻にかける事なく、誰にでも平等に接する。
だから男女問わず周りに人が絶えないのだろう。
「学校一のモテ男恐るべし。」
『ファイト。』
「他人事だと思ってるな…。」
『実際クラス違うしね。』
この時は本当に他人事だと思っていた……明日が来るまでは。
「よいしょっと。」
食事を終えた誠士郎は私の膝を枕にして体を横たえる。
するとその様子を見ていた梨沙は、呆れたように口を開いた。
「……隠す事なく私の前でもイチャつくようになったのね。」
「俺って自分の欲には忠実に生きてるから。」
『偉そうに言わないの。』
「そうだ、そうだ!」
「……ツンデレめ。」
その単語を聞くや否や、ニヤニヤした目で私を見る梨沙。
「ふ〜ん、普段のAから想像できないね。」
「そりゃ学校ではツンツンよ。」
「あははーハリネズミみたい!」
『…はぁ。』
仲が良いのか、悪いのか。
私の話で盛り上がる二人に深いため息を落とした。
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作者名:まるこめみそ | 作成日時:2023年11月26日 15時