季節が巡る ページ41
季節は巡り桜が舞い散る4月。
私たちは無事に進級し今日から二年生。
「Aとクラスが離れちゃった…。」
クラス分けされた表を見て落胆する梨沙。
誠士郎と私は同じクラスだけど、梨沙だけ別のクラスに変わってしまったのだ。
「…ズルい。」
「そう言われても決めたの俺じゃないし。」
『会えなくなるわけじゃないんだから……あ。』
キーンコーンと予鈴を知らせる鐘がなり、生徒達はそれぞれのクラスに入って行く。
『お昼になったら、色々話そう?』
そう言えば「わかった」と返事をし、暗い顔をした親友を見送り私たちも教室へと入った。
教室に入り席表を見れば誠士郎が「やった。」と嬉しそうにしている。
その理由は、一年に続き二年も隣同士の席だったから。
クラスが同じ位は何とも思わないけど、席が二年続けて同じになるのは教師の策略?なんて頭をよぎってしまう。
「神妙な顔してる。Aは嬉しくないの?」
『…ちょっと考え事してただけ。私も嬉しいよ。』
「その割に表情が硬い。」
『そんにゃっ。』
別に猫語を話してるわけじゃない。
誠士郎に頬を人差し指で突かれたせいで、語尾が可笑しくなっただけ。
『……。』
無言で指を掴み少し力を入れれば「いたた。」と棒読みで痛がるフリをする。
それを横目に、ふと去年の今頃の事を思い出した。
『今日は寝ないんですか?ナマケモノさん?』
「それデジャヴ。」
『むにゃ……あともうちょっと…だっけ?』
「それ俺が言ったの?」
『言った。私の事をお母さんだと思ったのかなー?』
「やめて…。」
そう言うと顔を伏せ机に突っ伏してしまった。
どうやら自分が口にした事を覚えてなくて、恥ずかしくなってしまったみたい。
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作者名:まるこめみそ | 作成日時:2023年11月26日 15時