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罪なキミ ページ40

「あれヤバすぎ…。」



『…座ってるだけなのに疲れた気がする。』



映画自体は面白かったが、4DXの動く座席に二人とも疲労感を感じていた。




「このあと行きたいところある?」



『先に化粧室に行きたいかも。』



「ん、わかった。」







化粧室に入ると鏡で化粧を直し髪を手櫛で整える。



いつもストレートの髪は毛先を緩く巻きフワッとさせ、メイクは春らしくオレンジカラーで。



流行りのオーバーサイズのチェック柄シャツに紺色のスキニー。


誠士郎に少しでも近づきたくて選んだ5cmのヒール。



『何も言ってくれないけど…どこも変じゃないよね?』




少し不安な気持ちで化粧室を後にした。





「おねーさん!今ひとり?奢るから一緒にお昼食べよ?」



『食べないです…人が待ってるんで。』



「じゃあその子も誘って食べよ!」



どうやら女の子だと勘違いしてるようだが、無視して誠士郎の待つ場所へ向かった。



『この人が、お昼奢るから一緒に食べようだって。』



私の言葉にスマホから視線を上げ立ち上がる。



「え〜なんで男と食べなきゃなの?」



「知り合いって男…でかっ!」



「悪い?」



「あ…悪くないです、じゃあ!」



そう言って私たちの前から走り去る。




「はあー、俺が居るのにナンパとか勘弁してよ。Aが男連れて来た時はさすがの俺でも焦ったから。」



『あの人しつこくて…誠士郎の所まで来れば諦めると思ってさ。』



「諦めたからよかったけど、力じゃ叶わないんだし気をつけて。」



『うん……。』



「……。」


少しの沈黙が流れたと思ったら、ポツリと口を開いた。



「ごめんAを責めてるわけじゃなくて……今日のAめっちゃ可愛いよ。」



私がずっと言って欲しかった言葉をくれ、ほんわか心が満たされる。



『ありがとう。』



そう伝えれば首に手を添え少し照れているようだ。



「つぎどこ行く?」



『お昼は?』



「テイクアウトならいいよ。」



『え?』




どうしてかと聞けば「周りの男がAをチラチラ見るからむかつく。」という理由。


ちなみにテイクアウトしたお昼は我が家で食べたのだった。

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作者名:まるこめみそ | 作成日時:2023年11月26日 15時

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