背徳感 ページ37
『私たちも教室に戻ろう？』
「うん。」
グイッ。
あと数歩で教室という所で後ろから腕を掴まれる。
「ちょっと来て。」
私の言葉を無視してスタスタ歩く誠士郎に、近くの空き教室へ連れ込まれた。
「……。」
無言で近づきジリジリ追い込むと、壁に手をつき私を見下ろす誠士郎。
『壁ドン』前もこんな事があった気がする…。
「さっきアイツと話してるの見てたら胸がモヤモヤした。」
『元はと言えば誠士郎が起きなかったからで…だから空いてる隣に御影くんが座ったんだよ？』
「次から叩いてでも起こして。」
『叩いてもって…。』
「起こす約束してくれるまで……やめない。」
『んむっ。』
否定は許さないと言わんばかりに、唇を塞がれ言葉を飲み込まれる。
『はっ、ん…。』
頭では分かっている『学校でこんな事しちゃいけない』そんな私の思考すら奪う熱い口付けに誠士郎の思うがまま。
ちゅっと音を立て名残惜しそうに離れる唇。
「約束できるよね？」
『最低…悪趣味…。』
「え、もっとしたいの？」
『わかった。ちゃんと起こすから勘弁して。』
「分かればよろしい。」
この日を境に声をかければ眠そうにしながらも、起きてくれるようになった。
放課後、荷物をまとめ帰る準備をしていれば梨沙に声をかけられる。
「A変わったね。なんて言うのかな…柔らかい雰囲気になった気がする。」
『そう？』
「中学の時から付き合いのある私が言うのだから間違いない！」
中学の時いつも見方をしてそばにいてくれた彼女が居なかったら、私は嫌な人間になっていたかもしれない。
『ありがとう…。』
「どういたしまして。あ、もう帰らないと！」
『彼氏？』
「YES！」
嬉しそうに答える姿に自然と笑顔になってしまう。
梨沙が友達で良かった。
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作者名：まるこめみそ | 作成日時：2023年11月26日 15時
