交換条件 ページ33
『はい、バレンタイン。初めて作ったから、ちょっと不恰好かも。』
箱を受け取ると眠そうな目が少し見開かれ、驚いたように見えた。
「チョコ?」
『それは開けてからのお楽しみ。』
「じゃあ今見る。」
ゴソゴソと包みを剥がし開封するとキラリと目を輝かせた。
「これ見たことある。惑星とか宇宙チョコってやつでしょ?」
『そうだよ。』
「マジすげー、手作りできんだ。この金色のキラキラなに?」
普段何かに対して”興味”がなさそう、そんな彼がチョコを手に取り興味を示していた。
『それは食用の金箔。』
「へー、じゃあ金箔をたくさん集めたらお金持ちになれるかな…。」
『うふっ、あはは。』
誠士郎が興味を持ったのは”チョコ”ではなく”金箔”だったようで、思わず笑い声が漏れてしまった。
そんな私を見て誠士郎は目をパチクリさせると口を開いた。
「そんな風に笑うんだ、初めて見た気がする。」
『私よく笑ってるよね?』
「笑ってるけど……今みたいな笑い方じゃないよ。」
『えぇ、そんなに違う?』
「違う、俺さっきの笑顔をもっと見たい、もう一回見せて。」
『今笑えって言われてもね。…じゃあ誠士郎も笑ってくれるなら良いよ。笑ってるところ見た事ないし。』
「やだ。」
そう言うと口をバッテンにして拗ねてしまった。
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作者名:まるこめみそ | 作成日時:2023年11月26日 15時