独占 ページ31
二週間近くあった休みは終わり、今日から普通の学校生活へ逆戻り。
クリスマス、お正月、誠士郎と過ごした楽しい日々を噛み締め自宅を後にした。
「おはよー！」
『おはよう。』
「…あのあと進展あった？」
『直球だね。』
席に座った私に探るよう聞いてくる梨沙、あの後とはクリスマスの事だろう。
「それでどうなの？」
『うーん、想像に任せます。』
「ふーん。」
『ちょっとその顔やめてよ。』
私の答えに顔をニヤけさせる親友。
「うわ、竹内さんがニヤけてる。」
いつも遅刻ギリギリでしか登校しない誠士郎が10分前に姿を見せた。
「いつも遅刻ギリギリの凪くんが早く来るなんて、今日は槍でも降るんじゃない？」
槍は言い過ぎだけど珍しいとは思った。
「竹内さんてデリカシーないね。雪なら降ってきたけど。」
「あ、ほんとだ。」
そんな二人のやり取りを眺めていると誠士郎は「おはよう。」と言いながら自然な動作で私の頭をひと撫ですると席に着いた。
『おはよう。早く登校するなんてどうしたの？』
「夢にAが出てきて早く会いたくなったから…。」
『…。』
「あー、外は雪が降って寒いってのに、この席だけなんだか暑いわね。」
パタパタと顔の前で手を振る梨沙と呆気に取られ固まる私。
「暑いなら自分の席に帰ったら？」
「凪くんに言われなくても戻るわよ。」
そう言うと席に戻って行った梨沙。
『突っかかるような言い方だけど梨沙と何かあった？』
「んー、なんも。」
凪の心には少しでも多く彼女を”独占していたい”気持ちがあるだけだった。
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作者名：まるこめみそ | 作成日時：2023年11月26日 15時
