獲物を捕食する ページ28
『草食の皮を被った肉食動物。』
いつもと違う凪くんの姿に心を乱され、思わず視線をそらした。
「なんとでも。」
壁から手を離し流れるような動作で私の頬に手を添えると正面を向かされた。
「こんな気持ちになったのAにだけだよ。だから……責任とってね。」
『え、凪くん?』
頬に手を添え視線を逸らせずにいると凪くんの顔が近づいてきて距離が縮まる。
「俺のことも名前で呼んでよ。」
触れた手は優しく腰に添えられ、お互いの呼吸が触れてしまいそうな所まで近づく。
『誠士郎…。』
「ん、いい子。」
次の瞬間、唇を奪われた。
いつも眠たげな誠士郎から想像できない、感情をぶつけるような口付けに頭が真っ白になっていく。
『せい、しろ…。』
息苦しさから誠士郎の胸に添えた手に力を入れて押す。
あっさり離れていくと顔を覗き込まれた。
「赤くなってる、可愛い。もっと見せて。」
また頬に手を添え顔を逸らせないように固定される。
『…誠士郎のせいだから。』
「うん、俺のせい。」
ナマケモノは草食の皮を被った肉食動物だったみたい。
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作者名:まるこめみそ | 作成日時:2023年11月26日 15時