your night.【谷山紀章】

#12 理由 ページ17

｢藤田凛は､私の姉です｣


Aちゃんは､少しためらってからそう言った


｢.....え？でもAちゃんは"星崎"で､藤田さんは"藤田".....な訳で｣


Aちゃんは困ったような顔をして､発言する｡


｢な､なんか私にもよくわからないっんですけど､.....異母姉妹？らしくて｣


彼女が話したのは､以下のような内容だった｡


自分は母親が20歳の時に産まれた子で､自分には年子の姉がいる｡名前は麻美｡


"凛ちゃん"は､自分の父親が20歳の時に産まれた子｡自分と"凛ちゃん"は9歳差であること｡


異母姉妹―母親が違う､腹違いの姉妹｡


つまり､Aちゃんが23歳､麻美さんが24歳､藤田さんが32歳の三姉妹｡


｢ほら､だっ､だから私....."凛ちゃん"に似てるところありません？鼻のところとか｣


確かに似てるな､と一瞬思い､その後すぐに何故か少し違う違和感が湧いてくる｡


｢なんでAちゃんは､藤田さんのこと"凛ちゃん"って呼ぶの？｣


｢え？｣


｢なんだか､違和感があるんだよ｡さっき"凛ちゃん"じゃなくて藤田凛って言った時は違和感なかったのに｡本当は､その"凛ちゃん"とは会ったことないとか､そんなんじゃないの？俺には､あんまよくわかんないけど｣


Aちゃんは澄んだ目を俺に向けて､その後すぐに表情を変える｡


いつもとは違う､少し大人っぽい表情だった｡


｢谷山さんには､敵いませんね｣


そう呟いたあと､空を見上げて砂浜に寝転がる｡


彼女がこんな行動をしたのを見たのは､初めてだった｡


｢最近はあんまり､会えてません｣

#13 回想記→←作者より

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