声優オタクの声優さん ぱーと4

急なご挨拶 ページ40

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お酒が入ったこともあり、お父さんと紀章さんはかなり意気投合したようだ。

野球も好きだから趣味も合うし……。
さっきから2人でずっと野球の話をしている。
お母さんもそこそこ知っているから偶に相槌入れてるし。

予想以上にあっさり打ち解けてしまってなんだか拍子抜けだ。

いやいい事なんだけど。


お父さんもお母さんも嬉しそうだし紀章さんも素に近い感じだし、会わせて良かった。
なんて他人事のように3人の様子を見つめていると、急に手を握られる。



「あの、凄く急な話になるんですが……」


「あらどうしたの？」


「ご存知かと思うんですが、Aちゃんと結婚を考えてまして」



ほんとに急な話だね！？
しかも野球からこの流れなんて誰も想像してないよ？

そんないきなりな話にも関わらず、お父さんもお母さんも驚いた様子はない。
何なら予想通りみたいな顔で紀章さんの話を聞いている。



「それで具体的な日にちは考えてないんですけど、今年中には籍を入れたいと思ってるんです。
その……、ちゃんとした形じゃなくて申し訳ないんですが……」


「うん。その先はAに言ってあげてください。
僕達はAが幸せになってくれればそれでいいのでねぇ。

知らない間に結婚するのかと思っとったけど、こうして会ってくれただけでもありがたいです。

紀章くん、これからもAのことをよろしくね」


「………ありがとうございます！」



うん。ちょっと泣きそうだ。
プロポーズされたわけじゃないけど、両親から認めて貰えた。
遠回しだったけど紀章さんのご両親からも認めて貰えたはずだ。
多分これで婚約した形になるんだと思う。

あまり実感が湧かなくてふわふわしてしまう。


でもまだそれで十分だ。
実感するのはまだ先でいい。



「もう。泣かないでよAちゃん」


「……え？」


「無意識だったんだ 笑
ごめんね。その時が来たらちゃんと言うから。

だからもう少しだけ待ってて」



どうやら無意識のうちに泣いていたようで。
それを見た紀章さんは頭を撫でて、そう言ってくれた。



……両親の前でそういうことを言わないでほしい。
恥ずかしいじゃん。



でもどうやらちゃんと私は幸せになれるらしい。
それだけで十分嬉しい。




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