声優オタクの声優さんぱーと3 (ページ7)

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面倒だもんページ7

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事務所に着くと大急ぎでやってきた花井ちゃんに紀章さん共々会議室へと押し込まれた。

そこには安定の社長。

社長は真剣な顔をしていて、私たちに座るように目線で促す。

それに従って社長の前に準備されていた椅子に座る。
ほぼ同時に送られてきたであろう記事が差し出された。

「これが記事なんだけど」

「あー、結構ガッツリ写ってんね」

「誤魔化そうにも顔がハッキリ写っちゃってるから言い訳できないんだよね」

「でも何でこのタイミングだったんですかね？
別にもっと早くても良かったと思うんですけど」

実は割とここが疑問だった。
私たちはあまり隠していない。
2人で街を歩くときも密着してるし、腕組んでたり手を繋いでいたり。

そもそも付き合う前に路上でキスしてるくらいだ。

昨日よりも撮る機会なんていくらでもあったはずなのに。

「たぶんこれが原因だろうね」

「………あ」

「2人がメインのあのアニメ。公に向けたキャスト発表が明後日なんだよ」

「なるほどねぇ。Aちゃんが久々の女の子役だしかなり注目される作品になるの分かってるからか」

「そう。要するにマスコミのいい餌になっちゃった訳だ」

やっぱ暇なんだねマスコミさん。

こんなおじさんおばさんカップルに記者張らせるなんて。

もっと若い子のところに行きなさいな。

「で、どうする？ここで公表するのもありだし、否定してもいい。2人に任せる」

「どうするAちゃん。隠す？」

「うーん。無視でいいんじゃない？面倒だし…」

「………はい？」

「え、それ本気で言ってる？Aちゃん撮られたくないーって言ってたじゃん！」

「うん、言ってた。でもここまでバレてるのに隠す必要もないし、態々公表するのもねぇ……」

「Aちゃんがそう言うなら俺はそれでもいいけど……」

社長に視線を向けると社長は硬かった表情を崩して笑い始めた。

そして満面の笑みで告げた。

「よし！それでいこう！事務所は無視するから、あとは2人でどうにかしてね」

「それは任せて。Aちゃんは守るから」

「じゃあ私は紀章さん守る」

「いやいや守らなくていいから！俺は叩かれても屁でもないから！」

「私も屁でもないよ？」

言い合う私たちを見る社長の目は優しくて。

ちゃんと大事にしてもらえてるんだなと実感した。

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