検索窓
今日:10 hit、昨日:16 hit、合計:66,264 hit

349話 ページ6

やっと私が彼の手を離したのは、駅の裏側の出口の1番近い公園

高尾くんの手を離して、ベンチに座った

どういうこと、と不思議そうに横に座った高尾くんに

「今日は、お祭り行きません」

と呟くと、彼は目を見開いて「え」とこぼした


「緑間くんからお願いされたの」

「高尾を止めてくれって…」と呟くと、高尾くんは眉間にシワを寄せながら下を向いてしまった



「高尾くんが、気晴らしに行きたいって言うなら行くけど…」


私はもう一度高尾くんの手を取った

自然と目が合う


「楽しめないなら無理しないで、私に甘えてほしい」


段々と潤んでいく高尾くんの目


はじめて見る高尾くんの涙

高尾くんの膝に、ぽた、ぽた、とシミができていく


「リナちゃん、ごめん、おれ、いえなくて、」

私は立ち上がって

突然だったんだ、と無理に喋ろうとする高尾くんを抱きしめた


「緑間くんほど包容力ないけど、」と笑いながら呟く私の背中に回ってきた高尾くんの腕


「っ…くぅ、…っうぅ…っ」


私は、抱きしめる手を解かなかった


優しい月明かりが、私たちの傷を埋めていくように照らしていた




どれくらい、こうしていただろう


高尾くんは私の背中から腕を解いて、そのまま離れると同時に私の腕を撫でながら、両手を繋いだ

「座って、」と優しく呟かれて、高尾くんの横に座る


「…」

「…」



蒸し暑い空気の中、心地よい沈黙が2人を包む


「…多分、リナちゃんも気づいてると思うけど…俺ら心の距離あったじゃん」


「…うん」


とくんとくんと自分の心臓の音が心地いい



「…話さなきゃいけないこと、いっぱいあっ…「高尾くん、」

と心の整理がついてないのに無理矢理話そうとする高尾くんを止めた

彼の瞳は涙で反射して、驚くほど綺麗だった


目を合わせて、愛を伝えるように


「今は無理に言わなくてもいい…


私に心の傷埋められるなら…高尾くんが満足するまで、埋めてあげたい」


私は真っ直ぐに高尾くんの目を見て伝えた


高尾くんの目はだんだんと野生みを浴びた男の目に変わっていく

それと同時にどちらからともなく段々と近寄る顔

あと少しで唇がふれそうな距離で、高尾くんが口を開いた


「…今はなんか、愛に飢えてる、…」



ごめんと口が動いたと思ったら唇が力強く触れた

350話→←348話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
131人がお気に入り
設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太 , 黄瀬   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

水蓮(プロフ) - りんさん» いえいえ、結構前からの住人ですが18歳になってからも設定がイマイチ分かっていなくて…体調に気をつけて更新なさってください。応援しています! (2020年11月17日 8時) (レス) id: b47f96cd16 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 水蓮さん» 水蓮さん…ご丁寧にありがとうございます。Rものは完全に私の性癖詰まってますので…気に入ってもらえてよかったです( ; ; )今後もよろしくお願いします( ; ; ) (2020年11月17日 8時) (レス) id: 44efae7669 (このIDを非表示/違反報告)
水蓮(プロフ) - 何故かアプリでRものが読めない方、ブラウザで占ツク→設定→コンテンツ検索の順で探してもらうと見れるように設定できます。但し主さんの言う通り無料会員登録をしている必要があるのでお気をつけください。Rもこのシリーズも読みやすくて好きですBy成人済み (2020年11月17日 8時) (レス) id: b47f96cd16 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - Mさん» リナちゃんと高尾くんもいっぱいイチャイチャさせたくてっっっ!!!!(大声) (2020年11月17日 6時) (レス) id: 44efae7669 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ユキノさん» 占ツクの検索に、直接入力していただければ検索ができると思います。こちらのシリーズは「kisekun-◯」(◯には半角でシリーズの数字)になってます。R18のものは、確か無料会員登録をしていただかないと読めなかったと思います!回答が間違っていたらすみません。 (2020年11月17日 6時) (レス) id: 44efae7669 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りん | 作成日時:2020年11月14日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。