黄瀬涼太は好きな子にアタックできません8

382話 ページ40

「…えーーーっと、じゃあここ音読してもらおうかな。」


部活と授業と忙しい日々に追われている


「今日は5日…だから」

私はテスト勉強になるべく時間を使いたくないので頑張って授業を聞いていた


５日だから…ってことは

「5番！黄瀬！」



クラスでくすくすと笑い声が響く

先生は黄瀬くんを探している

「あれ？休みか？」


私は思わず斜め後ろを見た

教科書を立てて机に突っ伏した黄色い頭


ブッ

思わず出た笑い声を必死に隠していると横で尾川くんが手を挙げた


「先生〜、黄瀬はコレです」

なにその黒子は僕ですみたいな…

なんてツッコミは置いといて


黄瀬くんに負けない大柄な尾川くんの背中にすっぽり隠れている大型の男

尾川くんの指差しでさらに視線が集まる黄瀬くん



尾川くんは教科書で黄瀬くんの頭を軽く叩いた


黄瀬くんはびくともしない


「こいつ死んでます」


尾川くんの声にまたクラスで大爆笑が起きて

先生は「じゃあもういい、尾川が読め」と呆れた声で尾川くんを指名した


黄瀬くん、多分毎日走り込みとか筋トレとかしてるんだよね

今日も部活の時間に仕事があるから、って言っていて

とんでもなく多忙な日々で体がすごく心配


黄瀬くんと同じクラスっていうのにやっと慣れてきた…かな

「A、黄瀬のことちゃんと寝かしてあげなよ〜、やることばっかやってちゃダメだって」


リナからそんな変な茶化しをうけて
思わず「してないってば！…最後にしたのだってめっちゃ前だよ！」と小声で言い返した

リナはケラケラと笑いながら板書を続けた


そう、…最後にしたのは私の誕生日よりも前…


本当に忙しくて、そんなことしてる余裕がなくて



部活終わった後居残りする人たちも増えたから2人きりなんてことほぼないし


帰り送ってもらってもバス停までだし

彼は寮ですし



やっぱそう考えると大学生になるのも楽しみかもなぁなんて思って

ぼーっとしていたら


「はいそのあと、白河」と指名されて思わずうわずった声で返事をした



私の声に黄瀬くんが起きて体を起こして


みんながまた私たちを茶化しモードになってしまった


「たまたま！！たまたまだからっ！！うるさいなぁ！！」


私がキレると先生も笑ってくれた

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