黄瀬涼太は好きな子にアタックできません8

372話 ページ30

学校が始まって1週間が経過した

毎日変わらずある部活では、本入部までの期間、大量の一年生が体育館を行き来している

もちろんマネージャー候補もすごく多いんだけど…本気でやりたいって人は少なくて
去年も15人くらい入ったのに今残ってるのはたったの4人。
2軍、3軍にそれぞれ2人ずつ2年生のマネージャーが入ってる

抽選とかいえないけど正直何十人も必要ではないから、人数の多さには困ってるんだよねぇ

今日は週一のチーム内の試合形式練習のため、レギュラーの体育館にはたくさんのギャラリーが集まっていて

私も成績と夏のインターハイのための体づくりのため、選手たちをこまめにチェックしている

真面目にペンを握っていたら、後ろから肩を叩かれて


「白河先輩、少しいいですか？」

ごめんなさい、と手を顔の前で合わせているこの子は2軍のマネージャーさん

私はノートとペンを置いて、彼女についていって2軍の体育館へ向かった


歩いてる途中で聞いたところ、本入部したいというマネージャーの子が何と20人近く来ているそうで

私も思わずひっくり返ってしまいそうになった。


去年もそうだったから多分、騒がれるのなんて初めの1ヶ月くらいなんだろうけどサ

私は勘弁してくれよと言わんばかりにため息をついた。

体育館でたくさん集まった女の子たちの前に案内された私


「あー、えっと」

私が口を開くと、ざわざわし始める一年

そりゃそうですよね

ジャージには名前が入ってるし、多分私の名前だけが一人歩きして有名になってるから

うん。

「ここにいる子たち皆、マネージャーになりたいの？」


私が聞くと、ちらほらと返事をする彼女たち

2年生のマネージャーは横でおろおろしながら見ていた


「バスケ経験者いる？」

私がそう質問すると、誰も手をあげない。



あー、黄瀬くん目当てか？？



「一年生がもしマネージャーになったら、三軍からになります。黄瀬涼太に触れ合う機会はないです。」

隠してもあれなので、私は自分の口ではっきりと言った

それを見てギョッと驚く2年の子

「本気でバスケをする人を支えたいという意思が固まってる人は私に入部届を出しに来てください」

またそれにざわざわする一年

私はため息をついて口を開いた


「私の立場と言動に文句あるならいくらでも聞くけど、この部活に貢献して、やることやってから言ってね」

私は「足手まといはいらないの〜」と冷たく言い捨てて二年生の子にバトンタッチした

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