黄瀬涼太は好きな子にアタックできません8

359話 ページ16

時計を見た高尾くんは、「やべ、おれシフトだ」と言い席を立った

「俺はここに残るのだよ」と本をまた開いた緑間くんを、さっきの話覚えてろよ的な目線で見つめていたら
高尾くんに「リナちゃんどうする？」なんてきかれて



うーーん。


…長く一緒にいたいし…。どうしよう


「後一時間で文化祭も終わるし、帰る？」


いつもなら、帰るって言っちゃうんだけど…
やっぱなんか今日はすごく特別な感じがして、帰りたくない


「…高尾くんのクラスいってから考える！」


顔が赤いかもしれない

私も席を立ち上がって、緑間くんにお礼をして図書室を出た





歩きながら俺寝ててごめんね、なんて謝られて

私は高尾くんの寝顔が見れたので満足ですなんて口が裂けても言えない

高尾くんの背中を追いかけていたら、目の前の背中が止まって顔面をぶつけた


「あ」

顔を抑えながら横にずれて、高尾くんがなぜ止まったのか確認すると…

「ダブル宮地先輩じゃないすか」

茶髪の人が、ふたり。


1人は制服で、1人は私服…って、去年文化祭で戦ってた宮地さんじゃん

「ダブル宮地ってなんだ？ごら」

兄弟なのか、と気づいた時には高尾くんは絡まれていて
もう1人の人とバチッと目が合ってしまった

「お、高尾、彼女か」


わかりやすく彼女と言われて恥ずかしくなって、それを見て笑われて

「て、海常の制服だよなこれ」

私の全身を見て、「黄瀬の紹介か？？」なんて笑う宮地さん(兄)

「ちげーっすよ！！あ、彼女は本当です」

後輩感満載の高尾くんが先輩を睨みつけて私の手を取った

「俺、シフトあるんで急いでるんすよ、宮地さん今度ご飯とかいきましょ、」
　


「じゃ」と軽く手を振った高尾くんに手を引っ張られて、私も軽くお辞儀をしてその場を去った



「なんだアイツ、明日部活でしめるわ」

「頼んだ」

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