【黒バス】探偵少女は真実を守る-episode extra-

▲真実-238-▲ ページ20

降旗が帰ってから、黒子は再びノートと問題集を取り出す。


あと少しで書き終わりそうだな、とほくそ笑んだが、すぐに監視カメラの存在を思い出し、数学をやりながら笑うのはちょっと変だな、と真顔に戻った。


この調子ならば、今週中には全てを書き終えて、降旗に渡すことが出来るだろう。


……黒子の書くそれは、今まで誰にも語られることのなかった、真実。


黒子はすでに、覚悟を決めていた。


いつまでもこうして、地獄のような監視生活をするぐらいなら、最期くらい足掻いたっていいじゃないか。


降旗君や、河原君、福田君、彼らは僕が戻ってこない事を嘆いてくれるかもしれない。


でも、僕はもうそちら側に戻るつもりはない。


…戻れない。


僕の体はすっかり痩せて、せっかく付けた筋肉も今では見る影もない。


こんな体でバスケなんて出来ないし、何より皆さんの事を思い出して、パスをする度に胸を締め付けられるのは御免だ。


せっかく生き残ったのに…と、言う人もいるだろう。


生憎、僕はとうに生きた心地などしていない。


…あの日から僕は、ずっとこの病院で、毎日毎日、来る日も来る日も監視されて。


誰かにぶちまけたい思いを、口にする事も許されなくて。


まるで、囚人。


あの女(クソババア)の世間体の為の、生きた人形。


今はまだ生きてられていても、降旗君達が高校を卒業する頃には、殺.されるんだろう。


…そうして、僕は世間から抹殺されて、事件の犯人は赤司君ということで完結、あのクソババアが一人で得して、誰も報われない。


……Aさんは、悲しむだろうか。


…生き残った僕が、命を無下にして、真相を書き溜めていることに。


江戸川さんなら、きっちり書いてくださいねと言いそうだ。


雛宮さんは…どうだろう、江戸川さんとは正反対だから、止めるだろうか。



黒「彼女に止められたら…止めざるを得ませんね。」



一週間も要りませんでした。


あとは降旗君にこれを手渡すだけ。


ここには全ての真相が書かれています……あぁ。



雛宮さんの最期以外、ですがね？



あはははっ！


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