【黒子のバスケ】関わらないでください17【赤司征十郎】

不登校＊874 ページ26

‐赤司side‐


Aは首を傾げながら僕を見る。


「"愛"というものがよくわからないです……」
「それは人によって表し方も感じ方も違うからなんとも言えないよ。でも僕はこうやってAを抱き締めるのも愛情表現の一つだよ」


と言ってAの額に口付ける。
Aは顔を赤く染めて俯く。

そんなAの頭を撫でてあげる。


「これも……？」
「そうだよ」


と俯いたままのAの頭を撫でながら答える。

Aにキスをするのも。
Aを抱き締めるのも。
Aに触れること自体、不器用な僕なりの愛情表現。


僕も人からの愛情に触れてきた訳ではないからどうするべきかわからない。
だから強引になってしまう時があるかも知れない。

甘え方も知らないから僕は少しずつ学んでいくしかない。


「じゃあ私は」


と言うとAは左手を無理に動かして、主に右腕に力を入れて僕の腰に抱き付いた。


「これが私の愛情表現にします！」


と言って笑うA。

左手を無理に動かしてまでそう言ってくれるAを溺愛して何が悪い。


「じゃあ覚えておかないとね。それと左手は動かすな」

と言ってAの左手に振動が加わらないように慎重に左手を解く。

悪化して治るのが遅くなるのは嫌だし、Aも痛みから逃れられないのは嫌だろう。
本人は痛くないと言うけれど、それは自分自身にしっかりと聞いていないからだろう。

本当はスゴく痛い筈だ。


自分に素直じゃないのはお互い様だね。

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