29.決裂 ページ30
野球部か、それともソフト部か、外部の掛け声がグランドからここまで響いてくる
階段の踊り場に設置されている窓から西日が差し込み、傍から見れば告白する男女にでも見えているのだろうかと場違いな考えが頭によぎる
沈黙が辛い
私も保健室に向かおうと、動き出したとき、それまで固く結ばれていた彼の口が開いた
「Aがやったんすか……?」
え……、という言葉が出そうになり、飲み込む
涼太は私を蔑むような目で見ていた
……怒っている
長い付き合い、幼馴染の勘、過去の記憶で涼太が怒ったのを見たのはいつ以来だろうか……
いや、今までの何よりも彼は怒っていた
「何か言ったらどうなんだよ」
ふるふると握りしめた拳が怒りで震えている
私は何も言えない
「なんとか言えよっ」
何も言わない私に痺れを切らした涼太は、バンッと壁を殴った
それでも私は何も言えない
でも、
「もういい」
でもね、
「お前はもう幼馴染でもない」
信じてたんだよ
「友達でもない」
涼太ならわかってくれるって
「最低っすね」
信じてたのになあ
去っていく後ろ姿は気のせいか酷く寂しげで
私は暫くその場に留まっていた
涙は……流れなかった
14人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星蛍(プロフ) - せりさん» ごめんなさい!!まだ編集途中で10月に外しますので、少々お待ち下さいm(__)m (2018年9月28日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - 続編はパスワードつきなのですね…見る事は出来ないのでしょうか?とても面白いので続きが気になります (2018年9月27日 16時) (レス) id: 9c9e090c7f (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - きゅうさん» ありがとうございます! (2018年9月18日 7時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
きゅう - おもしろかったです! (2018年9月18日 5時) (レス) id: fb4f6b02b7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:星蛍 | 作成日時:2018年3月31日 14時