か ン け い セ い。【鬼滅の刃】【短編集】

＊ ページ24

たぶん、いわゆる幼馴染み。





彼女、広瀬Aとの"昔の"関係を一言で言い表すならこの言葉だろう。






『ねえ、天元。私たち将来けっこんできるかな？』


「ったりめえだろ！」





でも、ただの幼馴染みにしては距離が近すぎた。






俺が家の考え方に疑問を感じ、最初に相談したのもこいつ。




否定されると思っていたが、そんなことなかった。




熱心に聞いてくれた。思わずその優しさに浸かりたくって色々やらかしたりもしたが、あいつは






ちょっと困った顔で笑い、"もう天元ってばそんなことしなくても大丈夫だよ"と許してくれた。









そんなAに少し悔しくて、ただの幼馴染みには絶対しないような事も色々やったが、そこは少し置いておこう。








その頃は嫁も決まって無かったし、きっとAが選ばれるものだと思っていた。








付き合ったりなんだりは無かったが、気持ちだけは通じあっている。









そう、思っていた。






でも違った、あいつにとって俺は簡単に捨てられる幼馴染み。








嫁や旦那が決まるまでの関係、そうだったのだと知ったのは






今の嫁が決まったとき、つまり俺とAが引き離される。







そう、決まってしまった。









恋に溺れ周りが見えて居なかった、愛しいひとの気持ちにすら気付いていなかった。









そう気がついたときには、全てとうに遅かった。














でも、まだ残されていた。





誰も傷つかない選択を取ることも出来た。









でもそれが出来なかったのは………







俺が未熟で、弱かったせいだ。









　



　




何とか掴めるはずだった糸を離したのは







何を隠そう、この俺だ。








　



　





全て俺が間違った。

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