か ン け い セ い。【鬼滅の刃】【短編集】

＊ ページ21

「聞いてないだろ。」




そんなことない、なんて言い返せなかった。





「まあいい、耳の穴かっぴろげて聞いとけ。」








『嫌です。それにこれ以上耳の穴大きくできませんよ』




「本当にお前なぁ……」






知ってますよ、可愛くなんかないですよ。





『可愛くなくて結構です。早く、任務行きましy』






言い切れなかった。だって









頬に感じる温もりに、




男の人特有の厚い胸板。









腰に回されるなにかと、




視界にはいる黒い服









「祭りの神の言葉だぞ、ちゃんと聞け」








耳元で聞こえる言葉は、




甘味のように甘くって。









抱き締められていると気が付くのに、そんなに時間はかからない。









『冗談はやめて、離してください。お嫁さんが怒りますよ。』




「……お前は？お前は怒らねぇの……？」







すがるような言葉に、少し胸が締め付けられる。







けど、そんな何回も何回も騙されてたまるもんか。





もう知ってるから、罠だって。




私を遊ぶための罠だって、






　


　







『私？私は柱様に意見できるような立場じゃないですよ』







ねえ、






「俺は……嬉しいんだがな……」








最低だよ








「もう一度言う、俺の嫁にならねぇか？」








そんなの、さいてい、だよ。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す