悪魔との契約2 ページ13
(行方不明になった5人…いや、商人の息子の恋人を含めた6人の女性…そして、ツェペリ公爵家襲撃事件、か…)
どちらも気の毒の話だが、自分には関係の無いことだ、と、使用人…ジョルノはそう思っていた。
__あの日、自分がその犯人を目の当たりにするまでは……。
「……カーズ、リンゴがひとつ足りないようだが?」
不貞腐れた様子の従者が買ってきた買い物袋の中身を確認しつつ、シーザーは声をかける。彼の肩には、町で行方不明とされている、スージーQが抱きついていた。
シーザーの周りには、スージーQの他にも5人の女性が佇んでいた。
看護婦のモニカ・ユルテッロ、踊り子のネーナ、主婦の美那子、ミュージシャンの妻であるホリィ…そして、画家、岸辺露伴の幼なじみ、杉本鈴美……。
どの女性も皆、シーザー・ツェペリ公爵の住む町で、3ヶ月間に行方を眩ませた女性ばかりだ。シーザーはこの6人の女性を、自身の屋敷の地下室に連れ込んでいたのだ。女性たちは皆、シーザーに対してひとつも嫌な顔を見せない……。それどころか、皆シーザーに愛されることを望んでいるようだった。
「リンゴひとつでいちいち文句を言うな。この“色欲の悪魔”をこき使っておいて…」
「俺が契約を交わした悪魔とはいえ、お前は表向きは俺の従者なんだ。俺の言うことに従ってくれないと困る」
苛立った様子で言い返すカーズに、シーザーは思わずため息をついた。命じた家事は大体上手くこなすし、なにより彼の“力”は役に立っている…。のだが、この傲慢な性格にはどうも慣れない。
「私はお前の小間使いじゃあない。そんなことよりシーザー、最近になってやっと1人獲物が増えたようだが…こんな調子で貴様の思い描く“ハーレム”とやらは築くことが出来るのか…?」
話を逸らしたか、と内心呆れつつも、シーザーは買い物袋から手を離し、傍らのスージーQからそっと離れて、腕を組んで眉を寄せるカーズに歩み寄った。
「…心配はいらない。最近、お前との契約で得た力の使い方にも慣れてきたところだ。順調に俺の“伴侶”を増やし…お前への代償も、お前が満足行くまで払ってやる」
「…ふん、ならば良い…せいぜい俺を失望させるなよ」
シーザーの回答に満足したのか、カーズは背を向けて、自室へと向かった。彼の背中を見送ったシーザーは、そっと窓の方へ目を向ける。
(…あぁ、愛しのA…もうすぐだ。もうすぐまた、君に会いに行くよ…)
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作者名:Choco | 作成日時:2021年1月22日 23時