こちらびんとろ探偵事務所(BinTRoLL)

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でも、好きなものがあれば嫌いなものも当たり前だが存在するわけで。





まずは辛いものが苦手だ。
カレーは甘口と中辛を混ぜて作っているし、辛ラーメンなんてもってのほか、食べられない。ただ、当の本人は辛味を美味しさとして捉えたいらしく、挑戦しては兄さんかじらいちゃんに渡している。





あとは粉薬が苦手。
先生には怪我だけでなく、体調不良で世話になることも少なくないのだが、Aは粉薬を特に嫌がる。それでも我慢して飲んだ後に顔をしかめる姿を見て、先生がいつもご褒美に飴を渡しているのを僕は知っている。






前述したがホラーも好きじゃない。
画面にいきなり怖い顔が出てくるびっくり演出がとりわけ苦手らしく、叫ぶことも無い訳では無いが、だいたい声が間に合わずびっくりして肩が上がっている。大体このようになる犯人はじらいちゃんかかるてっとさんだ。





出会った頃より随分明るくなった表情と、鈴のように笑う声。凛々しい表情で任務に向かっていく姿。
僕達は、7人になってからずっと一緒だったし、ずっと傍で見守ってきたはずだ。




それでも僕の中に確信的な自信が持てないのは






晴れた日が好きなくせに日差しは大嫌いなこと





傘を持つのは嫌いなのに雨音が好きなこと





寝るのが大好きなのに音が無いと眠れないこと





とびきりの笑顔の隙間に思い詰めたような苦しそうな顔が見えること





僕にはまだ分からないことが沢山ある。





いや、僕はまだ、彼女のことを何も知らないのかもしれない。

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