青色の紅茶 ページ7
｢ごちそうさま｣
横｢お粗末さま｣
朝食を食べ終わると、すぐさま自分の部屋に戻った。
理由はただひとつ、大学の卒論が終わらないからだ。
就職先はもう決まったに近いので何も心配はいらないのだが、日本全国の大学生には卒論という大きな大きな壁が立ちはだかっている。これがまた長いし、面倒だし、とにかく今の私には邪魔でしかない。
私の学部の卒論の目標次数は2万5000字。
2万5000字？？？そんな文字数今まで聞いたことない、ワープロ打ちで1枚が1000字だとして、単純計算で25枚。そんで今、まだ5枚を過ぎたところだ。
提出期限は1月の下旬から3月までで、それまでに作れたらいいんだけど、私はそんなことを言ってられるほど時間があるわけじゃない。
探偵の仕事と、私達の仕事。これらに時間を割く必要があるから。
そんなこんなで、事務所の仕事はほぼ皆に丸投げして連日寝不足の中、今はひたすら卒論に打ち込んでいる。これが終わればまたバリバリ働けるんだけどな。
｢そう簡単には終わんないよな…｣
パソコンの横に積み上がるのは空になった栄養ドリンクの缶。最近のは種類豊富で、甘くて飲みやすいものも多く、ついついジュース感覚で飲んでしまう。
これ地味にカロリーも高いし、糖質も高いから控えないと太るな。
パソコンにまとめたアウトラインを元にパソコンとにらめっこを続ける。伸びをすると関節のあちらこちらからぱきぱきと音がする。座りっぱなしで足も浮腫んできた。
書き続けていると集中力はゴミ以下になっていくもので、打ち込んでは消し、打ち込んでは消しを繰り返すと頭の中に浮かんでいた文章は、まるで砂のように溶けて消えていく。
これだけ頑張ってもまだ半分いかないなんて。
一旦保存してやけくそのようにパソコンを閉じ部屋から出ると、キッチンから良い匂いが漂ってきた。
お腹も空いていたので吸い寄せられるように階段をおりると、そこに居たのは千ちゃんだった。すっぴんPCメガネにスウェットという女子として最悪の格好だったが、何より誰かが家に残っていたことにびっくりした。
｢あれ、今日仕事は？｣
千｢今日俺休みの日なんだ、おいで｣
私に気付いたようで手招きをして鍋の蓋を開けるように促した。言われるがままに開けると、エビやムール貝の乗ったパエリアが出来上がっていた。
｢うわぁ…すごい…！｣
千｢お腹すいてるでしょ？ご飯出来たし食べよ｣
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作者名：きのこ丸 | 作成日時：2020年11月18日 3時
