ほろ苦メロンソーダ ページ28
｢〜♪｣
最近お気に入りのお風呂上がりの缶チューハイ。
芯まで火照った体に、冷たくて甘めのレモンサワーが染み渡る。これを夜空が見えるテラスでやるのがもう最高なのだ。
｢あ〜、美味しい｣
ニ｢飲んでる？｣
｢あ、ニカ。お疲れ様｣
ニ｢俺も飲もうかな。乾杯しよ｣
スーパーで買ってきたスルメイカのお刺身と焼酎瓶を持って現れたニカ。私が20歳の誕生日を迎えてからは、定期的に2人で飲んだりしている。
ニ｢今日は何飲んでんの？｣
｢レモンサワー｣
ニ｢好きだねぇ。おんなじのばっか飲んでるじゃん｣
｢ニカに言われたくないね｣
ニカはこの家に住む誰よりおバカさんだ。
すぐイタズラするし、英語読めないし、漢字書けないし。
ここに来てしばらく経った頃はよく喧嘩してたな、なんて懐かしく感じる。
ニ｢でもあんなちっちゃかったAが、お風呂上がりに1杯飲んでるような子になるなんて。おっきくなったなぁ｣
｢言っても5年前じゃん。さほど変わらないよ｣
ニ｢いや、5年ってでかいからね。5年だよ、5年｣
あのニカに頭を撫でられて、なんだか気恥ずかしくなった。缶の中に残っていたチューハイを一気に煽る。
いい飲みっぷり！って手を叩くニカは私より度数の高いお酒を飲んでいて、所詮私なんて子供なんだと頬を膨らませた。
｢あーあ、もうなくなっちゃった｣
ニ｢え、俺まだ飲むよ。付き合ってくんないの？｣
｢付き合うも何も今日1缶しか買ってきてないよ｣
ニ｢仕方ないなぁ｣
そう言ってニカは冷蔵庫に向かっていった。
五分ほどして、カフェに出てくるような可愛いドリンク片手にかえってきた。
｢なにこれ｣
ニ｢スーパーでメロンソーダ味のお酒売ってたから買ってきた。んで、上にアイス乗っけてきたの｣
しゅわしゅわと氷の隙間を上がっていく気泡と、徐々に溶けていくバニラアイス。1口飲むと、喫茶店で飲むような香料感じる懐かしいフレーバーと、微かにアルコールの苦み。大人のクリームソーダだ。
｢美味しい｣
ニ｢でしょ！ネットで見てAに飲ませてあげたいなって思ったんだ｣
｢ご飯作らせたらダークマター製造機なのに、お酒に関しては凄いんだね｣
ニ｢あ、今のバカにしたな！｣
｢してないってば｣
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作者名：きのこ丸 | 作成日時：2020年11月18日 3時
