嗤うJOKER、終焉にて (ページ12)

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土足のまま地面をはうように逃げ回った。
がむしゃらに掴んだコードは喉の真ん中で引っかかっているため、まだ何とかなっているが、これが頸動脈に来たら終わる。失神どころでは済まない。

｢ずっと君だけ見てたのに…なんで…なんで！！！！｣

ストーカー被害を調査するはずが、自分がそんな被害にあっているとは知らず、ここに来るまで何も見抜けなかった。情けなさと息苦しさで涙が滲む。

｢今ここで付き合うって言うなら助けてあげる。そうじゃないなら絶対ここで…！｣

こんなに締められては話せるものも話せたものじゃない。抑この男も興奮状態に陥っているだろう。蹴ろうが何をしようが力が弱まることがない。
暴れたはずみでコードが頸動脈に来てしまった。もう終わりかもしれないと思ったそのとき、ぼやけた視界に誰かが映った。

北｢離せ｣

首元を抑えていたものが消え、誰かに抱き抱えられた。息が吸える。貪るように咳き込みながら私は呼吸を整えた。

｢ミツ…｣

｢誰なんだお前…どうやってここに…！｣

北｢お前誰に頼んだと思ってんだよ？俺ら探偵だぞ、ナメてんじゃねーよ｣

私の呼吸が整ったのを確認すると、ミツは佐藤くんの胸ぐらを思い切り掴んだ。もう佐藤くんはすっかり小さくなってしまっている。

北｢人生は潰さないようにしといてやるよ。二度とこんな真似するんじゃねぇぞ。次やったらどうなるか、分かるよな｣

データはこっちにあるんだぞ、と言わんとばかりの物言いに、佐藤くんはズルズルと壁伝いに腰を抜かす。軽蔑した目で見下ろした後、私を回収してミツはマンションを後にした。

北｢あのさ、お馬鹿なの？｣

｢…｣

帰り道、いつもの軽口で私のことをバカにする。
今回ばかりは認めざるを得ない。違和感だらけだったのに無視していたのは私だったから。顔に出て落ち込んでしまった私の頭をガシガシ撫でながらミツは笑った。

北｢ま、無事ならいいんだけどさ｣

｢なんで入れたの、てかなんでここにいるって｣

北｢セキュリティは宮田が開けてくれた。あとさ、こないだあれだろ？千賀とか二階堂と話してあいつからの連絡が全部共有されるようになったみたいな。宮田が焦ったように電話の内容伝えてくるから俺も走ったんだよ～？｣

私が落ち込まないようにわざと明るくするのもこの人の悪いクセ。でも何度もこの笑顔に救われている。ごめんなさいの意味を込めて、精一杯笑って見せた。