出会い3 ページ3
「お名前は?」
「白狐Aです」
「年齢は?」
「19」
「職業は?」
「...フリーター、です多分。分からないです」
「住所は?」
「...」
「家族構成は?」
「...」
止まった。
職業の辺りから怪しかったが、住所で完全に止まった。ここからがアウトゾーンか。
年齢が19ということで、未成年ということは分かったし本来なら親元へ届けるのが正しい判断だ。しかし、この顔のあざと言い、怯え具合と言い、どうも親元へは返せない。
「単刀直入にお伺いします。その顔の傷は何ですか?」
「...こ、れは」
「もう学校に通ってらっしゃらないということなので、いじめ、では無いと思うのですが。しかも出来てからだいぶ経ってますね?さっきの男達でも無いでしょう」
彼女は俯いて、消え入りそうな声で「父親です」と答えた。やはり、虐待か。概ね予想通りだ。
「なぜ、あの様な場所にいたのですか?」
「今朝、父がいない間に家出して...、走ってここまで来ました。あてもなく、とりあえず走って...」
路地裏で呼吸を整え休んでいたところ、男達が襲いかかってきたらしい。全く、そんな所で呼吸整えるバカがいるか。
「わかりました。質問は以上です。ご協力ありがとうございました」
メモをした資料を整え部屋を出ようとするとか細い声で「あの、」と、話しかけられた。
「私は、父親の元に返されるのでしょうか」
「まぁ、そうですね。本来なら親元へ届けるのが正しいです」
ようやくこちらと目が合った時、彼女の目は怯えて震え、瞳の奥底から恐怖を感じているようだった。
「腕、見せてください」
「...」
「それによって考えます」
彼女はおずおずと右腕を差し出した。
袖をそっと捲り上げると、根性焼きだの、あざだの傷だので埋め尽くされていた。まるでダルメシアンだ。右腕でこんな状態なのだ。身体中きっと傷だらけだろう。
「では、もういくつか質問しましょう。洗濯は出来ますか?」
「はい」
「掃除は?」
「...出来ます」
「料理は?」
「人並みには」
「よろしい。採用です」
右手を差し出すと彼女は怖がってまた後ろに体をやる。「採用って?」と聞かれ俺は笑ってこう答えた。
「私の家の専属家事代行人です」
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きのこ丸(プロフ) - ソラさん» コメントありがとうございます!最近更新できていなくて本当に申し訳ありません。もうそろそろラストスパートをかけていこうと思っておりますのでどうかお楽しみに。これからもよろしくお願いします。 (2019年2月8日 1時) (レス) id: c6e8e226d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 滅茶苦茶自分好みの小説ですごい好きです()これからも全力で応援してます!更新頑張って下さい! (2019年1月17日 20時) (レス) id: 1eb8274d38 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ丸(プロフ) - ソーダさん» コメントありがとうございます。お褒めいただき光栄です。ぜひこの後もどきどきを楽しんでいただければ幸いです。これからもよろしくお願いします。 (2018年12月19日 8時) (レス) id: c6e8e226d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - すっっっっばらしい小説ですね!!銃兎さんからの愛情とか設定も細やかで続きがとてもドキドキします!!更新頑張ってください!!!待ってます!!! (2018年12月19日 0時) (レス) id: 995cf675ed (このIDを非表示/違反報告)
きのこ丸(プロフ) - ヒョオ()さん» コメントありがとうございます。先の展開が気になるような話の進め方に出来ているようで良かったです。ぜひこの先もハラハラドキドキして下さい笑。これからもご愛読よろしくお願いします。 (2018年12月15日 11時) (レス) id: c6e8e226d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこ丸 | 作成日時:2018年11月28日 17時