出会い19 ページ19
「そろそろお昼の時間ですね。どこか入りますか」
「そうですね」
そう言って銃兎さんが連れてきてくれたのは洒落たカフェ。落ち着いた店内で、若い人は少ない。
センスの良いジャズと珈琲豆の香りが漂うなんとも趣のあるカフェだ。
「ここはマスターが挽きたての豆で珈琲を入れてくれるのでとても美味しいんです。私もたまに世話になります」
「銃兎さんホントに珈琲好きですね」
「お子ちゃまではないのでね。長いこと歩いたのでお腹も空いたでしょう。好きなものを頼んでください」
どちらかというと喫茶店っぽいメニューがずらりと並ぶ。どれも美味しそうですごく迷う。
「決まりませんか」
「はい、これもこれで迷ってて」
「じゃあどちらも頼みましょう。分ければいい」
「いいんですか」
「はい。デザートのいちごパフェも半分にしましょう」
銃兎さんは珈琲を、私はレモンスカッシュを頼み飲んで待っていると温かい料理が届いた。
私達が注文したのはビーフシチューとオムライス。
インスタ映えとかは全くしないけど、上品で綺麗な料理だ。
「いただきます」
冷えた体に温かい料理が沁みる。
とても美味しい。銃兎さんを見ると、やはり上品に口に運んでは満足そうに微笑むのだ。
「美味しいですね」
「子供みたいだな」
「まぁ、まだ一応未成年ですけど」
他愛もない話をしながら食べるご飯は本当に美味しい。銃兎さんと一緒にいると常にだらしない顔をしてそうで心配だ。
食事が終わりデザートを2人で食べているとき、後ろから声が聞こえた。
「あれ、銃兎?」
後ろを振り向くと1人の女性が立っていた。
ゆるく巻かれた茶色の巻き髪に、スリットの入ったタイトなスカート、深いVネックの白いニットを着た綺麗な大人の女性だ。
最初は銃兎さんの方を向いていたが、私に気づいたのか少し顔つきが険しくなった。
「この子は?」
「彼女だが。お前に今関係あるか?」
「へぇ...、”彼女”ね」
じっと顔を見つめられ、何も言い返せずこちらも黙るしかない。艶っぽい唇が三日月形を描くと視線は私から外れた。
「若い子ね」
「もういいだろ。彼女に構うな」
「はいはい、邪魔者は消えますよ〜」
後ろ手に手を振り女性は店を後にした。
銃兎さんは短く「すまない」とだけ私に言った。
どう返すのが正解かわからず、私は黙々とパフェを食べるしかできなかった。
719人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこ丸(プロフ) - ソラさん» コメントありがとうございます!最近更新できていなくて本当に申し訳ありません。もうそろそろラストスパートをかけていこうと思っておりますのでどうかお楽しみに。これからもよろしくお願いします。 (2019年2月8日 1時) (レス) id: c6e8e226d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 滅茶苦茶自分好みの小説ですごい好きです()これからも全力で応援してます!更新頑張って下さい! (2019年1月17日 20時) (レス) id: 1eb8274d38 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ丸(プロフ) - ソーダさん» コメントありがとうございます。お褒めいただき光栄です。ぜひこの後もどきどきを楽しんでいただければ幸いです。これからもよろしくお願いします。 (2018年12月19日 8時) (レス) id: c6e8e226d4 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - すっっっっばらしい小説ですね!!銃兎さんからの愛情とか設定も細やかで続きがとてもドキドキします!!更新頑張ってください!!!待ってます!!! (2018年12月19日 0時) (レス) id: 995cf675ed (このIDを非表示/違反報告)
きのこ丸(プロフ) - ヒョオ()さん» コメントありがとうございます。先の展開が気になるような話の進め方に出来ているようで良かったです。ぜひこの先もハラハラドキドキして下さい笑。これからもご愛読よろしくお願いします。 (2018年12月15日 11時) (レス) id: c6e8e226d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きのこ丸 | 作成日時:2018年11月28日 17時