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蜃気楼2 ページ2

北山side


宏「おーい!A遊びに来たぞ!」

「宏光くん!今開けるね」






俺たちは成長して中学生になった。
行動範囲の広がった俺は、月に一度は時間が出来たらAの元に遊びに行くようになっていた。






宏「今日はケーキ買ってきた。2人で食おうぜ」







いつも俺が甘い物を買ってきて、彼女が美味しい紅茶やコーヒーを淹れてくれて。それを一緒に食べるのがお決まりになってた。






中学生だったし大したものは買えなかったけど、2人で一緒に食べたら何でもいつもの倍くらい美味しく感じた。






「はい、ココア。外暑かったから冷たくしたよ」

宏「ありがと、今日はショートケーキとチョコレートケーキ買ってきた。選んでいいぞ」

「えー。そんなの悪いよ」

宏「んじゃ半分こすっか」

「うん、それがいい!」







正直甘いものは苦手だ。
だけど彼女と一緒ならなんか食べられる気がした。





「いただきます」

宏「どう?そんな高い店のじゃないけど」

「うん!とっても美味しい」







いちごの乗ったショートケーキを上品に食べるA。打って変わって無邪気な笑顔、その笑顔を見るのが俺は大好きだった。







「宏光くん肌焼けたね。もう真っ黒だ」

宏「そうだろ?サッカーやってるから焼けちゃうんだよ。Aは相変わらず真っ白だな。外出てんのか?」

「何!ちゃんと学校いってるし、外で運動もしてるよ」

宏「えー?女子ってこんなに肌白いもんなの?」

「宏光くんが黒いだけだよ」

宏「あっはっは、何それ失礼だなー笑」

「これ食べたら海行こう」

宏「ん、いいよ」






おやつを食べて、ちょっと話したら俺たちは砂浜に行った。水着なんて普段持ってないから、いつも玄関で靴と靴下を脱いじゃって砂浜を駆け回るのが楽しかった。






宏「あっちぃ!もう夏だな」

「そうだね、今年もお泊まり来るの?」

宏「Aがいいなら!今年は花火と天体観測したいな」

「去年はスイカ割りしたもんね」






数年前、俺が迷子になったあの一件から俺とAの親は双方仲良くなり、お泊まり会もする仲になっていた。





宏「あ!いいこと思いついた。ここに俺らの足跡付けようぜ」

「こんな隅っこに?」

宏「そしたら誰にも潰されないだろ?せーの!」





砂浜の隅っこに作った2つの足跡。
俺の大事な思い出。

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作者名:きのこ丸 | 作成日時:2018年7月1日 22時

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