お見合い相手は、いじめっ子 【K】

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貴「髪型よし、メイクよし、服装よし！」



あの夜、私は家に帰り



お見合い用の服を必死に探した。



結局見つかったのは、



友人の結婚式に来ていった淡いピンクのワンピース。



髪型も少し巻いて



メイクは３０代にふさわしナチュラルメイク。



夜中でこれだけ用意した私を本当に褒めてほしい。




・




ロビーに向かうと



母「A〜！こっち！」



今まで見たことのない上品な服をきた母と



ガチガチの父がソファーに座っていた。



貴「もう、本当にやめてよね！」



父「Aすまないな。」



お父さんがペコリと頭を下げる。



貴「もうここまで来たから仕方ないけど・・・。」



申し訳なさそうに頭をさげる父を見ると



文句を言いにくくなってしまった。



母「とりあえず、最上階のレストランで待ち合わせだから！」



いきましょ！っと母の熱に押され



重たい足を引きずりながらエレベーターに向かった。







・




貴「めっちゃ奇麗だね・・・。」



母「うん・・・。」



父「・・・。」



レストランに向かうとなかなか豪華な個室に案内された。



アンティーク調の机や椅子。



大きな花瓶にあふれんばかりの花。



貴「相手の人ってお金持ちなの、お父さん。」



このレストランは



相手の家が決めてくれたそうだ。



父「北山さんっていう人なんだが、そこそこの資産家だよ。」



母「そんな家の息子さんで結婚相手がいないなんて、



なんだか不思議ね。」



貴「そうね。本人も商社マンでお金持ちなんでしょ。」



そういえば・・・。



貴「お母さん、私その人の顔知らないんだけど。」



母「あら昨日メールで送らなかったかしら。」



貴「届いてないよ・・・。」



私の母は結構うっかり屋で



こういう事が日常茶飯事。



貴「じゃあ今ちょっと見せてよ。」



母「もう本人が来るんだからいいんじゃないの。」



貴「でもさ・・・。」



母とグダグダ会話していると




『ガチャ』




「すいません。お待たせしました。」




相手の方が来てしまった。



とうとう人生初のお見合い開始。









そしてあと数十秒で






私の人生が終わることになる。

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