お見合い相手は、いじめっ子 【K】

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別に結婚願望がないわけじゃないし、



彼氏が今までいなかったわけじゃない。



２年前まではちゃんといた。



いままでタイミングが悪かっただけ。



前の彼氏は、



結婚してもいいかなって思える人だった。



会社の先輩で仕事もきっちりできて



本当に素敵な人だった。



でも彼がNY支店に移動となったとき、



どうしても『ついていきたい。』って言えなかった。



まだ２８歳で、



アメリカに行く勇気がなかったからだと思う。



今だったら確実について行ってた。



そうやってタイミングのせいにしてたから



結婚できないのかな。



３０歳という節目を迎えてから



急に焦りを感じるようになった２文字。



時間は私を待ってくれないのだ。





・



貴「じゃあまた明後日。」



横「おう。遅れんなよ。」



今日は土曜日。



いつもより人が多い駅で



渉と別れた。



電車に揺られ３０分。



最寄駅に降りて



いつも通りの道を歩いていると







『ブー・ブー』





マナーモードにしていた携帯が鳴った。



時刻は11時45分。



もう私の誕生日が終わろうとしている時だった。



貴「誰？こんな時間に。」



画面を見ると、



スマホの液晶には



『お母さん』



の文字。



貴「お母さん！？珍しいな・・・。」



正月に帰るだけで



あんまり連絡を取り合わない母。



いきなり連絡が来て



驚きを隠せなかった。



貴「もしもし？どうしたの？」



母「A。元気？あ、誕生日おめでとう。」



貴「ありがとう。そんな事言いにきたの？」



突拍子もない母の発言に



少し笑ってしまった。



母「いや、ちょっと気になって。」



貴「お母さん変なの。」



母「Aさぁ、最近どうなの？」



貴「何が？」



母「いや・・・。お母さんだって心配してるのよ。



３０歳になってまだ、結婚とかないの・・・？」




貴「はいはい。もううるさいな・・・。」



お母さんこの件で電話かけてきたな・・・。



母「いい人とかいないの？」



貴「もう、私は仕事が一番だから。」



母「そんなAに素敵なプレゼント。」



貴「はい？」



すごく嫌な予感がする。



母「なんとお見合いをセッチングしました〜！」



貴「はぁ！？」



母の口から飛び出したのは



まさかの『お見合い』。



ここから私の人生が変わった。

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