お見合い相手は、いじめっ子 【K】

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私はバックからスマホを取りだし、



四桁のパスワードを解除する。



エレベーターももう２階。



地獄から解放されるまでもう少し。



北「貸せ。」



といきなり



ひょいっと手から携帯を奪われた。



貴「えっ！ちょっと！！」



宏光は慣れた手つきで



さっさと携帯をいじる。



そして同時に






『チン。１階ロビーです。』





エレベーターが１階へと着いた。



貴「ちょっと！返してよ！」



宏光はスタスタと携帯を触りながら歩き



私はそれを追いかける。



おい、あのレディーファーストはなんだったんだ！



と思う変わりよう。



北「はい完了。」



ロビーを少し進んだところで



宏光が私の腕をつかみ



ポンと携帯を手においた。






・




北「今からいう事をよく聞け。」



貴「はい？」




手をつかんでいる彼は



あの時と同じ



何か悪いことを企んでる顔。



北「１．電話はワンコールで出ろ



　 ２．俺の言うことは絶対に聞く



　 ３．言う事聞かなかったらお仕置き



　 以上。」



貴「は？」



彼の口から



意味の分からない言葉が出てきた。



貴「そもそも私の番号知らないじゃん。」



北「今覚えた。発表してやろうか？」



貴「何言って・・・。」



北「090-687((貴「すいませんでした！」



分かればよろしい



と言わんばかりの顔。



北「さっき言ったこと守るように。」



貴「えっ！そんな！」



北「お前聞いたよな。」



貴「はい？」



パンとつかんでた手が離される。



北「なんでお見合いOKしたかって。」



貴「うん・・・。」









北「そんなもん、





おもちゃ見つけたからに決まってんだろうが。」









そう言ったあいつはニヤリと笑う。



貴「・・・えっ。」



北「そういうわけで。じゃあ。」



棒立ちになった私に



くるっと背を向ける彼。



貴「えっ！どこ行くの！」



北「帰る。」



貴「はぁ！？」



北「お前とお茶飲んでるほど暇じゃないんだ。」



貴「いやでも・・・。」



私はパニックになり



その場であたふたする。



そんな状況をお構いなしに



すたすたとスマートに彼は歩き



そうして、






北「じゃあまたね。Aさん。」





お見合いの時に見せた



営業スマイルで振り返り、



その場を去っていった。







呆然とする私の携帯には



ちゃっかりと




『北山宏光』




とLINEと電話番号が登録されていた。

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